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昭和式経営を否定したら、失敗した

ワイキューブ創業者、安田佳生氏に聞く

2014年2月19日(水)

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 年功序列をはじめとする昭和式経営を否定した結果、民事再生法の適用に追い込まれた企業がある。コンサルティング会社、ワイキューブだ。ワイキューブは創業以来、オフィスのデジタル化や成果主義の導入、組織のフラット化、科学的営業などを急ピッチで推進した。

 その徹底ぶりは有名で、オフィスにはパソコン・ネット環境どころか、カフェやバーも設置。徹底的な能力主義で優秀な社員には入社数年でも高額の年棒を約束し、年功序列も全廃。その象徴として入社2年目でも必要とあればグリーン車での出張を認めていた。

 また、早くから採用担当者と内定者の交流にSNS(ソーシャルネットワークサービス)を活用。電話や飛び込み営業ではなく、ダイレクトメールや雑誌広告による反響営業を主体としていた。最盛期には売り上げ40億円以上、社員200人を超えるまでに成長したが2011年3月に頓挫した。ワイキューブの創業者、安田佳生氏に当時を振り返ってもらった。

若手社員でも新幹線の移動にグリーン車を利用できるなど福利厚生を手厚くしてきました。その狙いは何だったのでしょうか。

安田 佳生(やすだ よしお)
1965年大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後、リクルートを経て、90年ワイキューブを設立。2011年3月に民事再生法を申請した。社長退任後、2013年にはニートだけの会社「NEET株式会社」の設立に参画した。(写真:北山宏一)

安田:優秀な人材の確保でした。ワイキューブのような新興企業が躍進するためには大企業の内定を蹴ってでも入社してくれる人材が不可欠でした。でもブランド力がない中小企業にはなかなか入社してくれません。

 そこで手厚い福利厚生や最先端のオフィスが必要だったのです。オフィスには、カフェやバー、かっこ良い服が買える洋服店まで作りました。イタリアの人間国宝級の職人に頼んで革靴を作ってもらったこともありました。これらのことは優秀な社員を惹き付けるために有効だと考えていました。

 僕自身の考えとしては、福利厚生をとことん手厚くしたらどんな会社になるのかをやってみたかった。社員のためにお金かけてつぶれたなんて聞いたことがありません。だからやってみようと思ったのです。

やってみて何が課題になりましたか

安田:人件費が高すぎました。失敗の最大の原因です。ある時に、社員の給料を一気に2倍にしました。売り上げが伸びたからではありません。銀行からの借り入れでまかないました。でも優秀な人材さえ集まれば、売り上げは伸びると信じていました。

 ワイキューブは若手社員でも、経営者と採用計画などについて議論を交わす機会がありました。経営者と対等に討論するためには、給料を上げてトップと同水準の生活をしてもらうことが不可欠だと考えたのです。

 でも狙い通りにはいきませんでしたね。給料を引き上げた頃から取引先に「ワイキューブの社員はすごく生意気だ」とよく言われました。全員が社長待遇なので、勘違いしてしまったのかもしれません。グリーン車に乗って、リッツカールトン級の高級ホテルに泊まっていましたからね。

 今となっては分かりませんが、課長や部長など階層別に待遇を変えるといった管理をしていれば、違った結果になっていたかもしれません。

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「昭和式経営を否定したら、失敗した」の著者

西 雄大

西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者

2002年同志社大学経済学部卒業。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、ネットなどを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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