「今、リーダーに最も求められる「復元力(レジリエンス)」」

浅田真央選手に学ぶべき「復元力」

  • 久世 浩司=ポジティブサイコロジースクール代表

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2014年2月28日(金)

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 ソチ冬季五輪のフィギュアスケート女子のショートプログラムでは16位と低迷したものの、2日後のフリープログラムで得意のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を決めて、自己最多得点を獲得して6位入賞した浅田真央選手。その姿が、日本人を感動の渦に巻き込んだのは記憶に新しいところです。

 浅田選手から学ぶべきことは多々ありますが、重要な一つがショートプログラムで“どん底”に陥りながらも、わずか2日で再起して高いパフォーマンスを出した彼女の「復元力」です。実は、この復元力は英語で「レジリエンス」と呼ばれており、現在、世界中の人材育成の現場で注目されているキーワードです。本連載では、「レジリエンスとは何か?」「どう鍛えればいいのか?」について、レジリエンス・トレーニングを行う久世浩司氏による解説を数回に渡ってお送りします。

レジリエンスとは、逆境から再起する「復元力」

 レジリエンスとは、もともと生態系の環境変化に対する「復元力」を表す言葉として使われてきた用語です。それが近年は解釈が拡がり、欧米企業では「逆境や苦境から迅速に回復する力」として注目を集め、リーダー人材の育成分野でレジリエンスが応用されています。

 リーダーに逆境はつきものです。日本企業で働く多くのリーダーにとっても例外ではありません。グローバル化への対応や、需要が縮小する国内市場での競争は激しく、常に高いストレスやプレッシャーの下で働くことが強いられています。そんな中において、正しく意思決定を行い、成果を出し続けるために、レジリエンスは欠かせません。

 レジリエンスを簡単に理解するために温度計を想像してください。一般的なカウンセリングなどのストレス対処法はマイナスに振れた心理状態をゼロの位置に戻すことが目的でしたが、レジリエンス・トレーニングでは、そこから一歩踏み込みます。具体的には、逆境でマイナスにある心理状態を早期にゼロまで戻す回復と、さらにプラスまで持っていき再起できるまでを目指すのです。

 レジリエンス・トレーニングは、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル、米ジョンソン・アンド・ジョンソン、米IBMなどといった多くのグローバル企業で行われています。

 その効果が明らかになることは少ないですが、例えば、英国の製薬メーカー、グラクソ・スミスクラインはレジリエンス研修を行うことで、業務で感じるプレッシャーが約8割減少、メンタルヘルスの相談件数が約6割減、メンタルヘルスによる欠勤者数も約2割減少するなどの成果が見られたといいます。

 レジリエンス研修が実施されているのは企業だけではありません。強い緊張が強いられる軍隊や警察、医療機関などでも行われています。

 例えば、米国の陸軍では百万人規模の兵士が受講しています。イラクやアフガニスタンなどからの戦場帰還兵がうつ病や薬物中毒で悩み、離職や自殺などが増えていたことから、通常のストレス研修に替わるものとして導入されました。導入の結果、薬物中毒者の割合が半減するなど明らかな改善が見られたといいます。

 「レジリエンスのレベルによって成功するか、否かが決まる」と言われるほど、レジリエンスは企業のエリート層も注目しています。


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