• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

米価は下がる、だが農家よ恐れるな!

徹底解説「減反廃止」

2014年2月28日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 関係者のなかにはまだキツネにつままれたような気分の人も多いのではないだろうか。40年余りも続いたコメの生産調整(減反)を、2018年をめどに廃止する――。昨年の秋口に政府で論議が浮上したと思ったら、11月にはもう廃止が決まっていた。ではなぜ減反をやめるべきなのか。やめると米価はどうなるのか。減反問題の専門家、岐阜大学の荒幡克己教授にインタビューした。

自由な経営判断ができない

なぜ減反を廃止すべきなのでしょうか。

「減反廃止はソフトランディングできる」と説く岐阜大学の荒幡克己教授

荒幡:経営者の自由な判断を阻害している。このことが一番大きい。生産調整の面積は個人に配分される以前に、まず県、そして市町村に配分される。本来なら産地間で自由に競争すべきなのに、減反によってコメを生産する面積が固定される。これも少なからず影響する。つまり、個々の農家と産業としてのアクティビティーをともに損なっている。

 東日本は増産意欲が強く、西日本は低い。県によっては増産意欲がゼロというところもある。これはカルテルとしては不自然な状態。カルテルはふつう、みんなが均等に我慢するから成立する。だが減反ではある県はものすごく増産したいのにぐっと我慢し、ほかのある県はぜんぜん我慢していない。

増産意欲がない県は減反の目標を達成するのが楽なので、不公平ではありませんか。

荒幡:担い手がいるかどうかが、両者の違いの背景にある。だから、増産意欲がない県は減反で楽をしているという言い方は失礼だ。実はそういう県のほうが農業問題としてはかえって深刻。中山間地が多いとか、高齢者が多いとか、構造面から見たらむしろ気の毒だ。楽をしたいわけではなくて、増産したくてもできなくなっている。

 一方で、担い手がいくらでもいて生産調整の配分をなくしてくれたら、どんどん作るという県もある。しかも、そういう県は本来割り当てられた面積を守っていないところもある。守っていないものを認めるというのは、ルールとしてはどう考えてもおかしい。もうこれを人為的にうまく配分するというのは無理。現行システムは限界に来ている。

いつから限界になったのですか。

荒幡:1993年に大不作になり、外国からコメを緊急輸入した。これを受けて、農林水産省は翌94年には転作していた田んぼを復田するよう要請した。「頼むからコメを作ってくれ」「もう転作をやめてくれ」と言った。この要請に従って各県が復田した。ところが、95年にはまたコメが過剰になり、「頼むからまた減反してくれ」と要請した。

 こうして前言をひるがえすようなことをしたから、農政への信頼がなくなった。その直後、95、96、97年あたりから生産調整の未達成が増え始めた。それまでは「この地域はこれ以上、減反を増やすのはきつそうだ」「こっちはもう少し大丈夫そうだ」「じゃあ、きついほうの分をこっちに持ってくるか」という調整を、国が県、県が市町村に対してやっていた。まるで職人芸のような感じで、それなりに機能していた。

 ところが、減反を未達成、つまりルール違反の地域が増えてくると、さじ加減で調整することはできなくなる。そうすると、めいっぱいきつい地域を緩くするのではなく、「未達成のところにはペナルティーをかけろ」みたいな、逆方向の流れができた。その結果、実際にこなせる減反面積と、本当にコメを作れる面積との間でズレが生じるようになった。これはかなりの制度疲労だ。

コメント2

「ニッポン農業生き残りのヒント」のバックナンバー

一覧

「米価は下がる、だが農家よ恐れるな!」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

富士山を目標にする人はいつか富士山には登れるでしょうが、エベレストには登れない。

澤田 秀雄 エイチ・アイ・エス会長兼社長、ハウステンボス社長