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温室効果ガス40%削減のカギを握る排出権取引

EU-ETSは復活するのか

2014年3月3日(月)

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 前回は、欧州委員会が示した2030年の温室効果ガス削減案を紹介した。今回は、その核心と見なされる排出権取引の改革案に焦点を当てて解説する。

環境と成長の両立を模索するEU

 EUは、温室効果ガス(GHG:Green House Gas)削減で世界をリードしてきた。しかし最近は、再生可能エネルギ-の話題は多いが、排出権取引はすっかり影を潜めてしまった。リーマンショック後の経済減速で域内でのCO2排出量が減り、排出枠が大量に余って、排出権価格が暴落し、システムが機能しなくなったからだ(資料1)。

資料1.欧州炭素価格の推移
出所:欧州委員会

 一方で、COP19(第19回 気候変動枠組条約締約国会議)の決定により、各国は2015年3月までに2020年以降の温室効果ガス削減目標案を公表しなければならない。EUはこの分野で名実ともに世界をリードしてきた。また、天然ガス価格の高止まりと、予想を超えて急増する再エネ発電の影響で、エネルギ-コストは米国、中国に比べて割高になり、製造業の競争力に及ぼす影響も危惧されてきている。さらに需要減退、天然ガス火力の稼働低迷、太陽光など分散型電源の急増、電力取引価格の急落などで大手電力会社の収益力は急速に衰えている。

排出権取引を「2030年40%削減」の切り札に

 こうしたなかで、欧州委員会は、1月22日に2030年の温室効果ガス削減率を1990年対比で40%とする案を発表した。この目標達成のための施策として、排出権取引に最大限の期待をかけている。

 2007年に2020年削減目標を決めた時は、排出削減20%、再エネ比率20%、省エネ20%のいわゆる「トリプル20」を掲げたが、今回は大きく方針を転換したように見える。環境だけではなく製造業の競争力や大手電力会社の経営にも目配りをする必要があったのだ。

 削減率40%は決して低い数字ではなく、達成するための手段に柔軟性と合理性を求めた。それが排出枠を市場で売買できる欧州域内排出権取引制度(EU-ETS:Emission Trading Scheme)の活用である。

 しかし、排出枠が大量に余り価格が低迷している。ETSの機能と信頼が回復される必要があった。その切り札として委員会が提案したのが「市場安定化積立制度:Market Stabilization Reserve」(以下排出権リザーブ制度)である。前回も触れたが、今回は詳しく紹介する。まずは、EU-ETSの概要と経緯について解説する。

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「温室効果ガス40%削減のカギを握る排出権取引」の著者

山家 公雄

山家 公雄(やまか・きみお)

エネルギー戦略研究所所長

日本政策投資銀行でエネルギー、環境などの融資・調査を担当。2009年からエネルギー戦略研究所で再生可能エネルギ-、スマートグリッドなどを研究。中立的なエネルギー・シンクタンクを心がけている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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