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「世直し起業」が被災地を救う

社会貢献型ベンチャー、東北に現る

2014年3月11日(火)

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 2月中旬、宮城県仙台市宮城野区にある美容室「ラポールヘア 仙台コロナワールド店」は、女性たちの華やかな会話に包まれていた。美容師と客が、育児の話で盛り上がっている。一見する限り、普通のヘアサロンにしか見えない。

 ラポールヘア・グループはこの店舗を含め、現在、宮城県内で7店を展開する新興勢力だ。同社は震災から約半年後の2011年10月、石巻市で大きな使命を担って立ち上がった。

 それは、「被災した美容師の働き場をつくる」ことだった。

 代表の早瀬渉氏は、かつて東京の大手美容室チェーン、モッズ・ヘアジャパンの役員を務めていた。震災直後から、ボランティアとして被災地に入っていたが、そこで津波に流された理美容師たちの存在が目に留まった。

 石巻市には震災前、およそ1000軒の理美容室があった。だが早瀬氏は、そのうち200~300軒ほどが被災したという報告を受ける。

 その多くの店が、カルテやハサミもろとも流された。結局、ハサミを握れなくなった理美容師はおよそ600人に及んだ。事業を再開できた店はほんの一握り。肉親を失い、心に深い傷を負った美容師もいた。

「ハコさえ作れば」

 美容師のほとんどが個人事業主。店を再建するカネも気力もない。心を痛めた早瀬氏は、モッズヘアを辞めて、現地での起業を決心した。

 美容師は、国家試験を合格した有資格者である。働く場さえ提供すれば、技術がきっと生かせる。「多くの美容師を救いたい」と早瀬氏は考えた。

 2011年10月、早瀬氏は第1号店にあたる石巻店を「復興支援美容室」としてオープンさせると、この2年半で7店まで数を増やした。そこで雇用している美容師の平均年齢は35歳。そのほとんどが女性だ。小さい子供を抱える美容師も多い。

 ラポールヘアに、この世代の女性美容師が多く集まるには理由がある。同社は全国でも珍しい、保育士が常駐するヘアサロンなのだ。これも早瀬氏の問題意識とアイデアで実現した。

ラポールヘア仙台コロナワールド店で

 全国で美容師免許を持つのは約100万人。しかし、実際に働いているのは40万人程度と言われている。その理由は美容師の多くが女性で、出産を機に仕事を辞めてしまうからだ。「だったら、保育室を併設すればいい」(早瀬氏)。

 店内には無料のキッズルームがついていて、1歳から5歳までの子供が利用できる。保育士が常駐する部屋を有し、客とスタッフの両方が利用できる機能を持ったヘアサロンは、東京でも珍しい。石巻店オープンの初日、店の前には100人以上の客が店の前に列をつくった。

 理美容業界の構造的課題であった子育てママ問題。被災地発のこの美容チェーンの存在が、いずれ全国の業界の姿を変えると、早瀬氏は信じて疑わない。

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「「世直し起業」が被災地を救う」の著者

鵜飼 秀徳

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)

日経おとなのOFF副編集長、浄土宗僧侶

京都市景観市民会議委員(2016年)、佛教文化学会会員。 1974年生まれ。成城大学文芸学部卒業後、報知新聞社へ入社。2005年日経BP社に入社。日経ビジネス記者などを歴任。2016年4月より日経おとなのOFF副編集長。浄土宗僧侶の顔も持つ。正覚寺副住職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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