福島第2原発で働く作業員の心と体をほぐす

被災地支援を続ける“心人”――特別編

  • 畠中 茂

 4月、東京電力本店で統括産業医を務める菊池央氏と連絡が取れて、ボランティアで何かできないかと相談した。この時、周囲からは反対の声しか上がらなかった。「危険だから絶対に行くな」「命を落としにいくようなもんだ」「もしものことがあったら家族はどうするの?」

 それでも反対を押し切り、6月14日、事故現場である福島第2原発から約10キロの地点にあるJヴィレッジ(サッカーのナショナルトレーニングセンター)に非関係者として初めて入ることができた。東電本店から許可が降りるまで約3カ月かかった。当時の20キロ圏内はまだ物々しい状態が続いていた。「Jヴィレッジに着いた時に感じた尋常じゃない静けさは今でも忘れることできない」(澤田氏)。

立ち入り禁止区域の入り口を警護する車両

 厳重な警備の下、Jヴィレッジに仮設された健康管理室に入った。最前線で事故の収束に当たっていた人々はグッタリ疲れていた。

 澤田氏は「過酷な現場で命をかけて作業に当たり、大きなストレスを抱えている人がたくさんいます。自身が被災した人も大勢います。震災で家庭を失ったり、津波で家を流されてしまったり」と振り返る。

 この日は17人の作業員に、全身のバランスを揃えて痛みを取る整体(徒手療法)を施術した。「大変喜んでもらえた。『体がほぐれた』『気分が楽になった』と言っていただいた」

 さらに、作業員が抱える症状が整体によって改善することを確認した産業医からうれしい言葉をもらった。「大変効果的だ。ぜひ続けてほしい」。

 この言葉を受けて、2カ月に一度の頻度で支援を続けた。滞在日数は、多くの場合、日帰りか1泊2日。

 この活動を1年続けた頃、福島第2原発の増田尚宏所長(当時)から「これからもご支援をお願いいたします」という内容のお礼の手紙が届いたそうだ。手紙を受け取った澤田氏の頬が涙で濡れた。丸1年活動してきた成果が認められた――との感慨があった。

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