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東北一小さな町から日本一の朝ご飯を

2014年3月13日(木)

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 東北で最も小さい自治体で知られる宮城県七ヶ浜町は、主力産業であった農業と漁業が震災で大きな被害を受けた。農業は津波による塩害に苦しみ、漁業は船や漁具が流されただけでなく、福島第一原子力発電所の放射線の風評被害にも苦しむ。

 そんな中、新たな海産物のネット販売や田んぼの塩害対策に活路を見出す人たちがいる。漁業再生に取り組む鈴木直也氏(43歳)と、JA仙台東部営農センター七ヶ浜復興担当を務め農業再生に取り組む我妻卓郎氏(35歳)。震災前は接点がなかった2人だが、震災後に協力し、漁業と農業を組み合わせて「日本一の朝ご飯」を目指すという。

=本文、敬称略

七ヶ浜町は漁業の町です。震災後、漁業を取り巻く環境はどうなりましたか。

鈴木:津波で家と船、漁具が流され、経営はたいへん苦しくなりました。漁師を辞める人もたくさんいました。高齢者はこれから船を作っても、新たに借金するのは厳しいと考えたようです。若手も家族の反対などで、街に出ていった人が多い。やっぱり海が怖くなったのだと思います。

 私も避難所生活の時に周りの人から「もうやめたら」と言われましたが、私には海しかありません。漁師が好きなのでやめる気はありませんでした。

七ヶ浜特産のぼっけを抱える鈴政丸の鈴木直也船長(写真:野口勝宏、以下同)

 震災の2カ月後に船を造り直し始めました。合計で何千万円もの船や漁具が流されてしまって、新たに1000万円ほどを借金して船と漁具をそろえました。一部、補助を受けられましたが、未だに借金の山です。

 震災後半年で、漁を再開しました。半信半疑でしたが、魚は戻ってきていて驚きました。

 問題は放射能です。漁協で検体して、数値上問題なくても、販売を自粛してくれとの指示がありました。売れなくなった魚の分は、東京電力が肩代わりしてくれることもあります。ただスズキとクロダイが解除になっていません。他の魚も風評被害で安くなってしまって収入が減っています。食べても問題ないのですが、ブランドに傷がついてしまいました。宮城県より福島県の漁師の方が大変だと思いますが。

 当初、水揚げ量は震災前と変わりませんでした。ただ、2013年からガクッと水揚げ量が落ちてしまった。それは主力のウニやアワビの水揚げが減ったからです。何百年も続く伝統の潜水漁で、最も稼げていたのがこの2つです。

 その理由は、毎年、稚貝を育てる養殖場が震災でなくなってしまったことです。岩手県広田町の養殖場などが機能停止になってしまいました。

 稚貝がなければ、いずれ水揚げが減るのは明らかです。そのため生産調整をしました。自分たちで自分たちの首を絞める形になりますが、生活がかかっていたので水揚げをせざるを得ませんでした。

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「東北一小さな町から日本一の朝ご飯を」の著者

大西 孝弘

大西 孝弘(おおにし・たかひろ)

日経ビジネス記者

1976年横浜市生まれ。「日経エコロジー」「日経ビジネス」で自動車など製造業、ゴミ、資源、エネルギー関連を取材。2011年から日本経済新聞証券部で化学と通信業界を担当。2016年10月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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