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死の病、「治癒」への挑戦

エイズ治療・予防薬(熊本大学、鹿児島大学、JT、ディナベック、タカラバイオなど)

2014年3月28日(金)

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エイズによる死者数が、年々減少している。ウイルス感染後の発症を抑える薬の普及が、「死の病」のイメージを変えた。だが、治癒や予防の実現にはもう少し時間がかかる。当面は自衛策が肝心だ。

 エイズ(後天性免疫不全症候群)は1981年に米国で第1号患者が正式に報告されたのを契機に、世界各地で急激に症例数を拡大してきた。

 「恐怖の奇病」「かかったが最後、3年以内の死亡率は70%に達する」「原因不明で打つ手なし」――。米国でのエイズ大流行を報じる83年の日本経済新聞紙面からは、当時の混乱ぶりがひしひしと伝わってくる。

 しかし、それから30年。医療技術の進歩で、HIV(エイズウイルス)への感染が即、命に関わるという状況は大きく変わった。最大の要因は、HIV感染後にエイズの発症を抑える「抗HIV薬」が相次いで開発されてきたことにある。

 UNAIDS(国連合同エイズ計画)の報告によると、2012年の世界のHIV陽性者数は前年比1%増え、3530万人に達した。うち71%(2500万人)をサハラ以南のアフリカ、11%(390万人)を南・東南アジアが占め、医療体制や啓発の遅れた発展途上国が特に深刻だ。また、厚生労働省によれば、日本国内でも2012年までに累計2万人超のHIV感染者が見つかった。

 一方で、抗HIV薬の普及により、エイズに関連した死者数は世界で年間160万人と、ピークだった2005年より30%減少した。1996年にはわずか7年だった25歳のHIV感染者の平均余命は2000年以降、約40年にまで延びた。発症前に感染が分かり、副作用などが起きずに薬を毎日飲み続けることができれば、患者は普通の人と近い生活を送ることも可能になってきている。

 治療薬開発の最前線を紹介する前に、エイズ発症のメカニズムを整理しておこう。

 HIVは、人の血液中に含まれる白血球の一種である「CD4陽性リンパ球」という細胞に侵入し、増殖する。CD4陽性リンパ球はウイルスや細菌などの外敵から体を守る免疫システムの「司令塔」とも呼べる重要な細胞だが、HIVの増殖とともに破壊され、徐々に数が減ってしまう。

 健康な人の場合、血液1マイクロリットル(マイクロは100万分の1)当たりに700個以上のCD4陽性リンパ球が含まれる。HIV感染によってこの数が200個を下回ると、通常では問題にならないような病原体が日和見感染症などの合併症を引き起こす。日本では、「カンジダ症」や「ニューモシスチス肺炎」など23の合併症のいずれかを発症すると、エイズと診断される。

 抗HIV薬は、ウイルスがCD4陽性リンパ球に吸着してから、最終的に増殖に至るまでのいずれかの段階で、その流れを食い止めるのが役割だ。これまでに実用化された薬は、HIVの増殖プロセスのどこで働くかに応じて、下図のように大きく5種類に分類される。

HIV(エイズウイルス)は、免疫の司令塔であるCD4陽性リンパ球に感染して増える。エイズの発症を抑える抗HIV薬は、この増殖プロセスのいずれかの段階を妨げる。現在実用化されている抗HIV薬は、赤色のボックス内に示した5種類に大別できる

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「死の病、「治癒」への挑戦」の著者

田中 深一郎

田中 深一郎(たなか・しんいちろう)

日経ビジネス記者

日経新聞科学技術部、証券部を経て、2012年4月より日経ビジネス記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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