• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

現場にばかり行かずに、もうちょっと机上の空論で勝負しろ

2014年3月19日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

経営の効率性と株主重視を超えて

 ひさびさに胸のすく経営者の言葉だった。

 「ROI(投資対効果)だけを重視しろっていうなら、ウチの株主なんてやめちまえ!」("If you want me to do things only for ROI reasons, you should get out of this stock.")。株主に対する怒りだった。発言主はアップルCEOのティム・クック

 株主総会で某株主団体は、アップルのサスティナビリティコストを公開しろと迫り、同時にそんなことにお金を使うのであれば効率的経営に反すると述べた。株主をやめろとは、それへのコメントだった。

 ティム・クックは、僧侶のように規律正しく、そして各経営指標に対し異常なほど厳格に力を注ぐ経営者だといわれている。しかし、その彼にとっても、サスティナビリティコストは投資対効果を超えたところに位置づけている。それが彼にとっては珍しい激怒につながった。

 ここでは、サスティナビリティコストを持続可能性費用と訳すよりも、環境対応コストあるいは、企業の社会的責任全般に対応するコストとでも訳しておきたい。売上高と利益を度外視したとしても支出せねばならないコストだ。

 サスティナビリティコストを、企業の社会的責任に対応するコストに代えて考えてみるに、広範囲をカバーする必要がある。とくに、サプライチェーン上に課題となるのは、海外サプライヤー工場での高環境負荷物質の使用抑制、あるいは超過勤務や労働者蹂躙などの労務問題だ。

 かつてナイキはアジアの外注工場で労務問題が生じ、それがナイキ商品の不買運動にまで発展した。スェットショップ(搾取工場)に外注することは、その工場単体の労務問題にとどまらず、発注元企業の社会的責任にまで発展する。

 アップルはナイキと同じ轍を踏まぬよう苦心してきた。iPhoneのアッセンブリを委託しているフォックスコンの労務問題は多数のメディアがこぞって取り上げる騒ぎとなった。同工場における工員の低賃金、超過勤務、自殺者の発生――等々が問題とされた。私はメディアの報じ方に異論があるけれど、本稿の主旨ではないので置いておく。ただ、少なくとも、外注サプライヤーの労務管理すら発注先が注力すべき時代となっていることは事実だ。

アジアを活用せざるを得ない企業ゆえに

 日本ではあまり知られていないものの、アップルは「サプライヤーレスポンシビリティレポート」を発行している。英語だが大変面白い資料なのでご一読をお勧めしたい。ここまでやらねばならないのか、と思うくらいサプライヤー管理が進んでいる。サプライヤーへの労務管理プログラムの浸透管理、労務時間管理、労働環境管理、使用物質管理、そして同社のサプライヤーマップなど、さまざまな情報を公開している。

「目覚めよサプライチェーン」のバックナンバー

一覧

「現場にばかり行かずに、もうちょっと机上の空論で勝負しろ」の著者

坂口 孝則

坂口 孝則(さかぐち・たかのり)

調達・購買コンサルタント

大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買、資材部門に従業。調達・購買関連書籍23冊を上梓。2010年、調達・購買コンサルタントとして独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

面白い取り組みをしている会社と評判になれば、入社希望者が増える。その結果、技能伝承もできるはずだ。

山崎 悦次 山崎金属工業社長