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ご褒美は成績アップに効果があるのか?

「双曲割引」と「損失回避」から考える低所得層の成績向上

2014年3月25日(火)

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 近年、日本の所得格差は拡大しており、それに伴って子ども達の教育機会の格差が進行していることが報告されている。一方で、低所得世帯の子供たちに教育機会を提供する動きが活発になっている。低所得世帯の子供たちの学力を上げるためにはどのような政策が効果的だろうか?低所得世帯の生徒たちのテストスコアを向上させるためにアメリカで実施された実験研究を紹介し、日本ではどのような方策が有効であるか考察する。

 2009年度(平成21年度)文部科学白書によると、近年「就学援助」を受ける児童が増加している。就学援助とは、学校に通うために必要な費用の負担が困難と考えられる保護者に対する援助で,生活保護法に規定する要保護者とそれに準ずる程度に困窮していると認められる準要保護者を対象とする。白書によると、就学援助を受けている生徒の割合が高い中学校では学力テストの正解率が低く、また、世帯収入が低い家庭ほど小学生の学力テストの成績が悪いことが報告された。

 以上の結果は、地域間の貧富の差が中学生の学力に影響していること、そして地域だけでなく個々の家庭の経済状況も子供の学力に直接影響していることを示している。東京大学の小林雅之教授らは、親の所得が高校卒業後の進学にも影響することを明らかにしている。

親の所得で進学率に2倍の差

 2012年の調査結果によると、所得が400万円以下の家庭では、子供が国公立大学に進学する割合は7.4%、私立大学に進学する割合は20.2%であるのに対して、所得が1050万円以上の家庭では、子供が国公立大学に進学する割合は20.6%、私立大学に進学する割合は43%であった。

 所得が400万円以下の家庭と1050万円以上の家庭では、子供の大学進学率に2倍以上の差があることになる。調査は2006年と2012年に実施されたが、両方の調査において私立大学進学率と所得に強い相関関係があった。国公立大学については、06年の調査では年収と進学率に相関関係がなかったが、12年の調査では強い相関関係が見られるようになった。

コメント2件コメント/レビュー

瞬発力としてテストの点数が上がることの価値は良くわからず、断絶した階級社会としての欧米の貧困層対策が日本に意味があるかは不明だったので、ちょっともどかしい記事だった。しかし、サムゼロゲームというコメントを見たが、基礎学力は社会基盤を構成する重要な要素で、社会から見れば全体の向上自体に莫大な利益がある。(2014/03/25)

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「ご褒美は成績アップに効果があるのか?」の著者

田中 知美

田中 知美(たなか・ともみ)

合同会社エッジ代表

米ハワイ大学経済学科博士課程修了。カリフォルニア工科大学ポスドク、アリゾナ州立大学助教授、慶応義塾大学特任准教授などを経て現職。専門は行動経済学・政策実験。1969年長崎県生まれ。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

瞬発力としてテストの点数が上がることの価値は良くわからず、断絶した階級社会としての欧米の貧困層対策が日本に意味があるかは不明だったので、ちょっともどかしい記事だった。しかし、サムゼロゲームというコメントを見たが、基礎学力は社会基盤を構成する重要な要素で、社会から見れば全体の向上自体に莫大な利益がある。(2014/03/25)

年収格差と教育格差に相関があるのが事実だとして因果関係はどうのだろう。相互に影響し合ってスパイラルに結果に結びついているような推定は立つが、はたして実際のところ年収格差が教育・進学に影響するのか、学習能力が年収を左右するのか、明確な分析を望みたい。また、「次のテストでは前回のテストの結果は影響していなかった」のくだりは、インセンティブを与えて一時的な努力は引き出せても、能力を向上する訳ではないことを示してもいて、すなわち子供に無理な努力をさせても効果は限定的で将来的な発達を保証するものでもないことを示唆してはいまいか。もっと言うと、経済格差の下層にいる学生を引上げても上層の中から同率の落伍者を生むだけではないかと言う議論もあるだろう。そもそもサムゼロゲームなのだから誰を勝者にするかを他人が率先して操作しようとすることの意義は何だろうかと感じざるを得ない。格差の下層からはい上がろうと努力する者に援助をすることは意義のあることかもしれないが。(2014/03/25)

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