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中高一貫校は、廃止せよ

荒れた“公立”こそ、実社会の鑑

2014年3月28日(金)

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 最近、中高一貫校が増えている。今では全国に900校以上ある。1999年からは公立校もできて(宮崎、岡山、三重)、その数は今や184校にもなる。中高一貫校が増えるのは、大学受験で実績をあげているからだ。高校受験に惑わされずに、6年後に向けて腰を落ち着けて勉強できる。また学力レベルのそろったクラスで効率的に勉強できる。中学受験目指して小学生のころから勉強に励むようになるというメリットがある。

 また、全寮制については、エリートの卵に全人格的教育を施すということへの期待もある。年配の政治家や財界人の中には、こういう考え方が根強い。「日本がだらしないのは社会をリードするエリート養成の学校がないからだ」「戦前は旧制高校があって人格見識の高い人間を創っていた。欧米にもボーディングスクールがある。全寮制の中高一貫校をもっと作るべきだ」。

 しかし、私は大いに疑問だ。私の周りには中高一貫校、特に有名私学の出身者がたくさんいる。職業は医者、官僚、学者、銀行マンなど社会の中心にいる人が多い。立派に活躍され、人柄、能力ともに申し分ない人がほとんどだ。だが、こと「政治」や「改革」となると彼らは驚くほどに不調法である。それはもう信じられないくらいどんくさい。何と比べてか。そりゃあ、あの橋下徹や不肖、この私(一応「改革」を専門としている。今月、朝日新書から『組織がみるみる変わる 改革力』を出したのでぜひご一読いただきたい)なんかと比べてである。

 彼らとボクらはいったい何が違うのか。それは「荒れた公立中学校に通っていた」という点である。おかげで私たちはケンカに強い。ちょっとやそっとのことでは驚かない。

荒れた公立中学校こそが人間を鍛える

 荒れた公立中学校では、毎日がサバイバルである。

 まず椅子に座る前には必ず押しピン(画鋲)が立てられていないことを確認しなくてはならない。体育のある日には、体育着と運動靴が入った袋を椅子にかけていたらすぐになくなる。机の脚にちゃんとくくりつけておく(おかげで今もイタリア旅行でモノを盗まれないのだ)。

 そして、教室に入るときには、必ず引き戸の頭上にチョークまみれの黒板消しがセットされていないことを目視チェックしなくてはならない。…とにかく忙しい。片時も心が休まらない。

コメント35件コメント/レビュー

すこし気になったので、コメントします。上山さんは過酷な教育環境から抜け出ることができたのかもしれません。しかし、すべての人が上山さんのように成功するとは限りません。荒れた学校に通っていた人の中には、努力したが勉強がうまくいかなかった人や学級崩壊でそもそも授業自体が成り立たず、勉強する機会に恵まれなかった人もいるでしょう。また、イジメの被害にあってしまい勉強そのものができなかった人もいるかもしれません。繰り返しますが、すべての人が荒れた公立学校に通って成功するとは限りません。上山さんは、おそらく奇をてらっておられるのでしょうが、ご自分を中心に考えるのは傲慢です。私は中高一貫には賛成です。もしも日本の政治家が理想主義的で問題と言うなら、日本の教育内容自体が問題と言うことです。現実的な政治家を求むというのなら、教育内容や政治家の育成課程を改革すればよいはずです。政治家と荒れた公立学校とは関係ないと存じます。(2014/05/23)

「上山信一の“あまのじゃく”改革談義」のバックナンバー

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「中高一貫校は、廃止せよ」の著者

上山 信一

上山 信一(うえやま・しんいち)

慶応義塾大学総合政策学部教授

1957年大阪市生まれ。京都大学法学部卒。米プリンストン大学公共経営学修士。旧運輸省、マッキンゼー(共同経営者)を経て現職。専門は経営戦略と行政改革。九州大学ビジネススクール客員教授。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

すこし気になったので、コメントします。上山さんは過酷な教育環境から抜け出ることができたのかもしれません。しかし、すべての人が上山さんのように成功するとは限りません。荒れた学校に通っていた人の中には、努力したが勉強がうまくいかなかった人や学級崩壊でそもそも授業自体が成り立たず、勉強する機会に恵まれなかった人もいるでしょう。また、イジメの被害にあってしまい勉強そのものができなかった人もいるかもしれません。繰り返しますが、すべての人が荒れた公立学校に通って成功するとは限りません。上山さんは、おそらく奇をてらっておられるのでしょうが、ご自分を中心に考えるのは傲慢です。私は中高一貫には賛成です。もしも日本の政治家が理想主義的で問題と言うなら、日本の教育内容自体が問題と言うことです。現実的な政治家を求むというのなら、教育内容や政治家の育成課程を改革すればよいはずです。政治家と荒れた公立学校とは関係ないと存じます。(2014/05/23)

今の中国がこのような世界に近いのかもしれません。上流階級に生まれつく、あるいは、たまたま上流階級になれた、というのであればハッピーですが、大多数のマジメで大人しい人はだまされてカツあげされて永遠に貧乏から抜け出せない、こんな社会が理想なら中国でも行ったらどうですか?学生時代にイジメにあった経験のある者としては非常に不愉快な内容でした。こういう考えの持ち主こそ「天罰でもあたって不幸になればいいのに」と本気で思っております。そうすれば少しは弱者の気持ちがわかってよいのではないですか?(2014/04/02)

慎氏が似たような内容の記事を今週書いていますね。ただ中学ではまだ十分ではなく高校だそうですが、まあ、社会の理不尽さや家庭環境の違いなどを知っておくことは人生にプラスだとは思います。しかし、中高一貫校の問題は、生徒の多様性よりも、受験に特化したカリキュラムだと思います。もちろん学校による差が大きいので程度の問題はあります。しかし、多くの公立高校のように勉強以外にもいろいろ体験できる自由な雰囲気が乏しいように感じています。それは人間としての感受性や教養を伸ばすことにマイナスだと思います。個人差が大きいので全ての中高一貫校生が受験秀才になるわけではないですが、受験しか脳がない人の比率は圧倒的に多いと思います。つまり人間としての能力が普通の一般的な公立高校出身者に劣るのではないかと。そのあたりに記事で指摘されているひ弱さの原因があるように思います。▽中高一貫校がもてはやされるのは、センター試験の日程など今の大学受験制度の問題が大きいですね。極端な言い方をすれば、5年間で中高の課程を終えて高校3年の12月までひたすら問題練習をしているわけですからね。センター試験の内容もどうも問題練習を沢山した方が有利になるようです。このあたりを改善すればだいぶ様子が変わるように思います。私は大学を9月入学にして入試を5月ぐらいに行えばよいと考えています。(2014/03/31)

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