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「質が良ければ高くても売れる」という思い込みは捨てるべき

いきなり最高級品を売ろうという姿勢に危うさ

2014年4月2日(水)

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 クールジャパンの盛り上がりの影響なのかどうかはわからないが、近年、関西の各百貨店では「日本の物作り」に焦点を合わせた催事イベントが断続的に行われている。

 今春夏もその動きが顕著で、先日グランドオープンしたばかりの近鉄百貨店あべのハルカス本店と、大丸梅田店でほぼ同時期に催事があった。また、阪急百貨店うめだ本店も6月上旬に「メイドインジャパン」をテーマにした催事イベントを開催すると耳にしている。

 近鉄百貨店は雑誌「モノ・マガジン」とのコラボによる「職人モノ展」で、3月20日~26日まで開催された。大丸梅田店は「めぐる日本のものあわせ」で3月12日~31日までの開催となっている。近鉄百貨店あべのハルカス本店は、6月下旬からもこの「職人モノ展」を開催することをすでに告知している。

 百貨店のほとんどは導入ブランドも取り扱いブランドも均一化しているのは周知の事実であり、集客動員を図るためには常設ブランド以外の催事イベントに頼る以外に方法はない。催事イベントというのはその時々にもっとも効果の高そうな案件を取り入れるわけだから、「日本の物作り」展が相次いで行われるということは、そこに消費者が興味を持っていると考えられているということである。

 さて、日本の物作りが見直される気運というのは非常に喜ばしいことではあるが、各売り場を見て回った感想は「この中から日本の一般消費者に広く受け入れられ、海外で受け入れられる商品というのは一握りだろうな」というものである。

 イベントコンセプトは同じでも大丸梅田とあべのハルカスでは催事の出展者の性質が異なっている。大丸梅田は服飾雑貨(一部文具を含む)を主体としており、その商品の小規模デザイナー、作家、工房を集めている。あべのハルカスは衣料品・服飾雑貨のみならず漆器や銅器、木工品などの伝統工芸品が多く含まれている。

 ハルカスの売り場で商品を拝見したところ、気になったのは伝統工芸品の価格である。例えば漆器だが、味噌汁椀が1万5000円前後する。鎚起銅器の手鍋が2万数千円する。漆器も本格的な手塗となると手間暇がかかっているし、一枚の銅板から鎚とタガネを使って鍋や器の形に仕上げていく鎚起銅器も大変に手間暇がかかっているからこの価格になることは理解できる。

技術はとても大事だが、価格がネック

 手間暇がかかるということはそれだけ生産数量も少ないから価格も上昇せざるを得ない。そして、これらの商品を作る技術というものは大変に得難いものであり、今後も継承していかねばならない。

 それでも広く日本の大衆に受け入れられるには価格がネックであると思う。また見た目も今風ではない。これをさらに海外に輸出するとなると、すくなくとも倍程度に上昇するだろうから、一部の富裕層を除いて大勢に売ることは難しい。

 これは筆者だけの意見ではない。近年、地場産業のプロデュースを多く手掛けているセメントプロデュースデザインの金谷勉社長も「オール手作業の伝統技能の良さはわかるんですけど、一般大衆向けの廉価版も必要だと考えています」という意見を持たれている。

 例えば、工程を簡略化して数千円レベルの価格にした廉価版を「入門編」として発表する必要があるのではないか。また、その際、デザインも現代風にアレンジする必要があるだろう。伝統技能によって製造されているが単なる黒塗りのお椀というだけではなかなか消費意欲を刺激するものではない。

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「「質が良ければ高くても売れる」という思い込みは捨てるべき」の著者

南 充浩

南 充浩(みなみ・みつひろ)

フリーライター、広報アドバイザー

1970年生まれ。洋服店店長を経て繊維業界紙に記者として入社。その後、編集プロダクションや展示会主催業者などを経て独立。業界紙やウェブなどに記事を書きつつ、生地製造産地の広報を請け負う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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