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新社長が臨む「弔い合戦」

もう聞き飽きた「安全」宣言

2014年4月10日(木)

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 底なしの不祥事に揺れるJR北海道に、安倍政権がトップの交代を命じた。更迭された野島誠は、1年足らずの社長在任中に、脱線事故や事故原因の隠蔽など、相次ぐトラブルに見舞われ、監督責任を取らされた。代わりに4月1日付けで元常務の島田修が社長に就いた。

 JR北海道の歴代社長が全員そうであるように、島田もまた「学士」と呼ばれた、国鉄キャリア官僚の出身だ。

 社長就任当日の午後、札幌の本社で記者会見に臨んだ。銀縁メガネと、七三分けの髪型は、「お堅い」雰囲気を醸し出す。そして、言葉を選ぶように、抱負を語り始めた。

JR北海道本社で社長就任会見に臨む島田修

遺書には切実な思いが綴られていた

 「安全を最優先する組織に再生させる。一日も早く安全文化を根付かせる」

 だがその言葉に、重みは感じられない。

 「安全を最優先する」

 このフレーズをこれまで何度、耳にしてきたことか。

 事の発端は、2011年5月に起きた石勝線の特急脱線炎上事故だった。79人の負傷者を出し、安全輸送を誓ったはずなのに、その後も車両の脱線、発煙、居眠り運転など、トラブルが絶えなかった。当時、社長だった中島尚俊は追い詰められ、同年9月に自殺した。自室から出てきた遺書には、切実な願いが綴られていた。

 「『お客様の安全を最優先にする』ということを常に考える社員になっていただきたい」

 急遽、会長から社長に「再登板」した小池明夫は、記者会見で「安全を最優先する企業風土を隅々まで浸透させたい」と語り、次いで昨年6月に社長職のバトンを受けた野島も、「お客様の安全が最優先になるように(現場に)アピールしていきたい」と表明した。

「日経ビジネス」の最新刊『2人のトップはなぜ自死を選んだのか』が発売されました。徹底した現場取材に加えて、急死した坂本眞一相談役をはじめとする歴代社長、労組委員長など8人の証言から退廃の真相に迫ります。

 だが中島から小池、そして野島へと受け継がれた「言葉」は、軽くなる一方だった。決意表明とは裏腹に、列車事故が絶えることはなく、ついに前代未聞の「悪事」までが露呈する。

 きっかけは昨年9月に発生した貨物列車が脱線事故だ。レール異状の放置が事故原因だと悟られないように、現場の保線員が検査データを改竄し、国土交通省に提出していた。これを機に、レール異状の放置と改竄が、20年以上前から道内各地で横行していることが発覚した。

 「安全を最優先する」どころか、安全をないがしろにし、平然と隠蔽する危険な体質が明らかになった。

 経営は混乱に陥り、そして2人目の犠牲者が出た。

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「新社長が臨む「弔い合戦」」の著者

吉野 次郎

吉野 次郎(よしの・じろう)

日本経済新聞社記者

1996年、日経BPに入社。2007年から日経ビジネス編集部で電機業界や自動車業界、企業の不祥事を担当。2015年4月から日本経済新聞社電子編集部に出向中。産業、経済事件を中心に取材・執筆する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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