最近、“見える化”という言葉をよく耳にするが、もともとこれは経営管理用語だ(日経ビジネスオンラインの読者なら当然ご存知だろう)。「作業工程をジャスト・イン・タイムの流れ作業に変えて余剰在庫や工程の不具合を“見える化”する」とか「ビッグデータ分析で顧客の潜在ニーズを“見える化”する」といった具合だ。
要するに、企業経営上の課題を、客観的視点からいち早く発見し、数値や色で可視化する。問題点を“公表”することで是正を促す意味もある。“見える化”は最近はコーポレート・ガバナンスやコンプライアンス関連でも使われる。それで、会社経営の“見える化”、という表現も出てきた。そこで今回、私はさらに対象を広げ、社会や政治の“見える化”について考えてみる。
相次ぐ怪事件
今年に入ってから奇妙な謎めいた事件が相次いでいる。いずれも政府や公的機関の権威を揺るがす大事件である。
〈事件1 内閣府職員@響灘〉
1月20日、福岡・響灘沖でゴムボートに乗った男性の遺体が発見された。身元は何と米ミネソタ大学大学院留学中の内閣府の30歳職員だった。その後、なぜか報道は途絶えた。しかし韓国に出張したあとボートで日本に密入国しようとした、とか見せしめのために殺されてボートに乗せられた、とか眉唾なものを含めて諸説が漂っている。朝鮮半島、内閣府、米国、ゴムボート…まるでスパイ小説である。
〈事件2 STAP細胞@理研〉
1月29日、理化学研究所はSTAP細胞の作成に成功したと発表した。主役は早稲田大学で博士号を取得し、米ハーバード大学でも研究してきた30歳女性だった。快挙だと世界が沸いたが、その後の論文の不備と理研vs本人のバトルという奇怪な展開は、読者がよくご存じの通りである。
“見せたいこと”を見せる化”するのも胡散臭いかもです。(2014/04/14)