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日本でBitcoinが流行る日はくるのか

2014年4月14日(月)

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 Bitcoin取引所MtGOXの破綻から40日あまりが経った。事件当時は600ドル近くあったBit coinの価値は中国で中央銀行による規制強化を受けてBTCTrade、BTC100.org、Huobiといった取引所の現金決済口座が4月15日に凍結されるとのアナウンスを受けて400ドルを割る水準まで落ち込んだ。とはいえMtGOXの破綻で、Bitcoinが円天のように崩壊すると予想した日本人が少なからずいた中で、Bitcoinの価値が崩壊していないことが、やや驚きを持って受け止められているのではないだろうか。

 黒田日銀総裁は4月8日の記者会見で、Bitcoinについて「安全性などもあり、一般的に決済手段としての需要は現段階ではない。ただ、現状はそうであって将来はどうなるか分からない」と述べている。なぜ黒田日銀総裁はBitcoinに決済手段としての需要がないと言い切れるのだろうか。仮にBitcoinに需要がないのであれば、どうしてMtGOXの破綻で価値を失わなかったのだろうか。いずれBitcoinは未来のお金として、銀行口座や電子マネー、ひいては現金を置き換える可能性があるのだろうか。

いまのところBitcoinが「通貨」でない理由

 英語でBitcoinやCryptocurrencyに分類され、日本語ではしばしば暗号貨幣、暗号通貨と訳される。英語のCurrencyには様々な意味があって、流通貨幣、通貨の他に、(言葉・風俗などの)通用(性)、(貨幣の)流通、一般の受容[容認]、流布、普及、流行、通用期間といった意味があるという。(出典:プログレッシブ英和中辞典)英語のCurrencyは「実際に流通しているか」に着目した概念といえる。

 民主党の大久保議員が参議院でビットコインについて質問したことで、日本法に於ける通貨の定義やBitcoinの位置づけについて輪郭が明らかになりつつある。閣議決定された答弁書によるとBitcoinは「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」や「民法」に於ける「通貨」には当たらない。答弁書によると、法律上の通貨に当たるかどうかは「強制通用力」(債権者がその弁済の受領を拒むことができず、当然にその弁済が有効となるとの効力)を持つかどうかで決まる。Bitcoinは債権者が受け取りを拒否できるので、通貨には当たらないのである。

 この「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」は、面白いことに同じ法律の中で通貨と貨幣という言葉が出てきているが、ここでいう貨幣とは紙幣ではなく硬貨のことである。何故この法律での通貨と貨幣の使い分けで、硬貨は通貨ではなく貨幣なのかというと、硬貨は日本銀行券と違って21枚以上は債権者が受け取りを拒否できるからである。1000円札21枚を受け取り拒否することはできないが、100円玉21枚の受け取りは拒否できるのである。

 日本国内では受け取りを拒否できるという点では米ドル札などの外貨も同様だ。ではBitcoinは外貨に当たるのだろうか?日本国内での外貨の定義は「外国為替及び外国貿易法」(外為法)で「外国通貨」として規定されている。外為法上の外国通貨の定義は曖昧で「本邦通貨以外の通貨をいう」としか規定されていない。しかしながら再質問主意書では「強制通用の効力(以下「強制通用力」という。)を担保する主体は、主権を有する国家又はこれに準ずるものである。外国の通貨とは、ある外国が自国における強制通用力を認めている通貨をいい、我が国における強制通用力が認められているものではない」「ビットコインについて強制通用力を認めている外国が存在しない限り、ビットコインが外国の通貨と同様の性質を持つと解することは困難である」としている。

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「日本でBitcoinが流行る日はくるのか」の著者

楠 正憲

楠 正憲(くすのき・まさのり)

国際大学GLOCOM 客員研究員

神奈川大学在学中から日経デジタルマネーシステムで編集記者として活動。インターネット総合研究所、マイクロソフトを経て2012年よりヤフー勤務。内閣官房 政府CIO補佐官、東京大学非常勤講師などを兼任

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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