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貸し付けに経済効果なく、岐路に立つマイクロファイナンス

改革のかぎは効果が高い貯蓄事業の拡大

2014年4月15日(火)

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 2006年にグラミン銀行総裁のムハマド・ユヌス氏がノーベル平和賞を受賞し、マイクロファイナンスは世界的に大きな注目を浴びた。しかしながら、その翌年に非政府組織(NGO)として始まったメキシコのマイクロファイナンス、コンパルタモスバンコが4億6700万ドル規模の株式を上場した際、貧困層に年率100%以上の金利で貸し出しをして55%という高い自己資本利益率を実現したことが明らかになり、マイクロファイナンス組織による高金利での貸し出しが問題として取り上げられ始めた。

 2010年4月13日付のニューヨークタイムズの記事では、メキシコのテクレモスという別のマイクロファイナンス機関も年率125%で貸し付けており、メキシコ全体のマイクロファイナンス機関の貸付の平均金利は年率約70%と法外な高さであることが報告されている。

 マイクロファイナンスによる高金利な貸し付けはメキシコだけの問題ではない。途上国のマイクロファイナンスの貸し付けの金利の世界平均は年率37%で、先進国の銀行や多くの高利貸しよりも高水準であるため、社会貢献事業として疑問視する声も聞かれる。

 なぜ途上国のマイクロファイナンスの利子率はそれほど高いのだろうか?

コストも手間暇もかかるマイクロファイナンス

 その第1の理由は、資本市場から資金調達をするために収益性を重視せざるを得ないことにある。マイクロファイナンス市場が大規模化する以前は、国際機関などからの公的援助資金が主な財源であったが、市場が大きくなるにつれ公的資金では資金への需要を満たすことができなくなった。そこでマイクロファイナンス投資ファンドなどが誕生し、先進国の投資家からの資金調達が活発になった。日本でも近年、マイクロファイナンス投資ファンドが増えている。

 第2の理由は、高い運営費や人件費をまかなうためである。

 途上国のマイクロファイナンス機関を訪れたことのある方はよくご存知だと思うが、マイクロファイナンスの職員は週に1回顧客を訪問し、貯蓄や返済金を集金し、貸付し、すべての出し入れを手帳に記入する。そして、事務所に帰ったらそれをコンピューターに入力する。顧客が住むコミュニティまで職員が出向くのは、マイクロファイナンスのオフィスを訪問する心理コストや顧客の機会費用を下げることでマイクロファイナンスの利用を高めるためである。

 途上国の貧困層にとってマイクロファイナンスの事務所を訪問し貸付の申し込みをしたり口座を開くことは心理的なコストが高く、交通の便が悪かったり交通手段がない貧困層にとって、労働の機会を犠牲にしてまで定期的にマイクロファイナンス機関の事務所を訪問するインセンティブは大きくない。

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「貸し付けに経済効果なく、岐路に立つマイクロファイナンス」の著者

田中 知美

田中 知美(たなか・ともみ)

合同会社エッジ代表

米ハワイ大学経済学科博士課程修了。カリフォルニア工科大学ポスドク、アリゾナ州立大学助教授、慶応義塾大学特任准教授などを経て現職。専門は行動経済学・政策実験。1969年長崎県生まれ。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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