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国富論2.0と生産回帰

消費者の自国主義が生産を戻す

2014年4月16日(水)

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欧米の生産回帰はホンモノか?

 製造業はかつて、海外へ生産を移管し利益を伸ばした。しかし、昨今では欧米を中心に生産回帰の報道がかまびすしい。本論では、欧米における生産回帰の実態を紹介し、生産回帰できている例とできていない例を考察する。また、日本企業が自国への生産回帰を考えるうえでのヒントをお渡ししたい。

 先日、イギリス政府は1億ポンドの支援策を打ち出した。これは、海外からイギリス自国生産に引き戻す製造業者をサポートするものだ。実際に、6分の1の製造業者が過去3年間で、付加価値部品の生産を自国に切り替えた。政府は、強い製造業の存在が経済復活に欠かせないものだとし、長期間にわたって支援していくという。

 アメリカでもオバマ大統領は製造業復活を国民に約束した。各種業界団体は、政府のもとを訪れ、製造業復活のためのリソースやインフラ整備などを嘆願している。例えば、家庭用品などの製造団体いわく、必要なものは必要とする地で生産すべきだとし、また消費者も安全性と愛国的な理由から「Made in America」を好むのだという。

「国富論2.0」を超えて

 前述のとおり、海外の報道を見ていると、このような先進国への製造業回帰の話題が多い。そこで、時代推移として、次の3つのフェーズに分類する。

●第一フェーズ(「国富論の時代」):商品を使った海外との自由貿易によって利益を伸ばす時代
●第二フェーズ(「国富論2.0の時代」):海外のアウトソーシングを使って利益を伸ばす時代
●第三フェーズ(「ポスト国富論2.0の時代」):自国生産・自国管理に戻し利益を伸ばす時代

 アダム・スミスは著作「国富論(The Wealth of Nations)」で「神の見えざる手」なる概念を使い、市場を説明した。個々人、あるいは個々の企業が利益を追求するのは、一見すると社会全体の利益につながらないように思える。しかし、それぞれが競争状態を維持することで、低コストでの生産が可能となり、商品やサービスは低価格となる。結果、社会全体の利益も増えていく。その過程で、「神の見えざる手」は、需要と供給のバランスをとり、財や富の望ましい分配を可能とするのだ。

 その後、英国の経済学者デヴィッド・リカードは外国貿易および国際分業に関する基礎理論を打ち立てた。リカードによれば、それぞれの国は得意な分野に特化すればよく、絶対的な生産優位性は持つ必要がない。自由貿易は各国を豊かに、そして幸せにするのだ。

 現在、単一国内での取引だけで完結している国はほとんどなく、また貿易の対象となっているのも財(商品)だけではない。生産の「アウトソーシング」や「EMS(電子機器の受託製造サービス)」、研究開発から事務業務にいたるまでの「外注」、「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)」に「オフショアリング」……多くの単語が出現し、様々なサービスが各国間で取引されている。

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「国富論2.0と生産回帰」の著者

坂口 孝則

坂口 孝則(さかぐち・たかのり)

調達・購買コンサルタント

大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買、資材部門に従業。調達・購買関連書籍23冊を上梓。2010年、調達・購買コンサルタントとして独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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