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未承認国家で考えたウクライナ問題

隣国モルドバと同じ失敗を犯すのか

2014年5月7日(水)

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沿ドニエストル共和国最高会議議事堂前に建つレーニン像(ティラスポリ市)

 3月に住民投票が行われ、ウクライナから分離独立し、ロシアに編入されることとなったクリミア共和国。そんなクリミアの後に続けと、ロシア系住民の多いウクライナ東部でも分離独立を目指す一部の住民たちがウクライナ暫定政権に抵抗している。

 そもそもウクライナには、東部に限らずロシア人の血を受け継いでいる住民も多く、ウクライナ人とロシア人のカップルもたくさんいる。ロシア語しか話せないウクライナ人も多く、厳密にロシア系住民とウクライナ系住民を二分化することは難しい。

 確かに、旧ソ連から離脱したウクライナが独立国家としてロシアの影響力を削ぎたい気持ちは分かる。しかし、一方で、ウクライナ・ナショナリズムの高揚は、これまで仲よく平和に暮らしてきた人々を民族性で分断し、殺し合いに発展させる怖さも持っている。

 実際にそのような失敗を犯したのが、ウクライナの隣国モルドバだった。モルドバには、未承認国家の沿ドニエストル共和国と、分離独立できずにモルドバから自治権を認められたガガウズ自治区がある。

沿ドニエストル共和国内のティラスポリ駅にて。モルドバ本国へ行く列車。鉄道の場合は出国審査はなく、入国カードを返しただけだった

未承認国家、沿ドニエストル共和国へ

モルドバの地図。モルドバはルーマニアとウクライナの間にある国。白抜きされている部分はそのモルドバ内にあるガガウズ自治区(ガガウズ自治区首都コムラトのバスターミナル内にて)

 昨年6月、私はモルドバにいた。南部にあるトルコ系のガガウズ人が多いガガウズ自治区を訪問したが、目に留まる看板がモルドバ語からロシア語に変わったことで自治区内にいることが分かった。時々、ガガウズ語の表示を見かけることもあったが、ほとんどロシア語が使用されている。住民に話しかけると、モルドバやEUではなく、貧しい生活を救ってくれる頼みの綱はロシアしかないかのような話しぶりだった。

 街ではガガウズの住民が、ちょうど6月12日の「ロシアの日」を祝う準備をしていた。ロシアの日とは、旧ソ連からのロシアの独立記念日で、一体ロシアが誰に支配されていたことがあるのだ? とロシア人さえも笑いの種にする日だ。そして、偶然にも私の誕生日と一緒だ。

コメント2件コメント/レビュー

戦争や民族の移動により、ヨーロッパ大陸に於ける民族や言語の分布は複雑だ。ある国のある州では国の主要民族とは違う民族が多数派で、その州の中のある町では更に違う民族であったり、国の主要民族が多数であったりする例は過尾瀬切れない程ある。日本と同じ島国であるイギリス(UK)でもそっくりな状況がある。EUはこういった土地柄だからこそ、ある程度成功し、拡大を続けているのだと思う。多くの国々は多数決を主体とした民主主義で運営されている。多数派は自分達の都合に合わせて国語を絞り込んだり、公務員の採用で差別したり、して自分達の利益最大化を図ろうとする。これは多民族国家に限った事でなく、単一民族国家ですら起こりうる事なのだ。そういった対立に嫌気がさし、国の権限を弱めて国境でのあらゆる障害を少なくするのがEUという連邦型の組織なのだろう。経済活動や文化活動で旧来の「国境」を殆ど気にせずに自由に行き来出来る。これで軍隊も各国からEUによるコントロールに移れば、ほぼ連合国家と言うに相応しい状態になる。こういう状況になると「公用語はXX語のみ」なんて言っても、職業すら国境を無視して選べたら、殆ど意味が薄れてしまい「日常会話語」になってしまう。家庭によっては家の中ですら複数言語が飛び交う事すら当たり前になる。振り返って日本や周辺国の状況を見ると、顔を赤らめてしまう程国家主義が蔓延っている。国家主義や民族主義を叫ぶ人達の殆どは民族を思ってというよりも自分達の利益を最大化したくて「利用している」人々と思って見てみると「成る程」と思わずにはいられない。日本が閉塞された国にならない為には不利な点があるにしてもTPPの様な多国間経済協定等で経済活動を自由化するのが一番良い。日頃感じていた事だが、この記事に書かれている様な現実を見せつけられると、ますますその思いを強くする。(2014/05/08)

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「未承認国家で考えたウクライナ問題」の著者

宮腰 由希子

宮腰 由希子(みやごし・ゆきこ)

ロシア語通訳

ロシア語通訳、NGO「ダール・アズィーザ」事務局長。1983年青森県弘前市生まれ。17歳の時にチェルノブイリに行き現地を視察。2002年~08年、モスクワ国立大学留学。現在はキエフに滞在中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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戦争や民族の移動により、ヨーロッパ大陸に於ける民族や言語の分布は複雑だ。ある国のある州では国の主要民族とは違う民族が多数派で、その州の中のある町では更に違う民族であったり、国の主要民族が多数であったりする例は過尾瀬切れない程ある。日本と同じ島国であるイギリス(UK)でもそっくりな状況がある。EUはこういった土地柄だからこそ、ある程度成功し、拡大を続けているのだと思う。多くの国々は多数決を主体とした民主主義で運営されている。多数派は自分達の都合に合わせて国語を絞り込んだり、公務員の採用で差別したり、して自分達の利益最大化を図ろうとする。これは多民族国家に限った事でなく、単一民族国家ですら起こりうる事なのだ。そういった対立に嫌気がさし、国の権限を弱めて国境でのあらゆる障害を少なくするのがEUという連邦型の組織なのだろう。経済活動や文化活動で旧来の「国境」を殆ど気にせずに自由に行き来出来る。これで軍隊も各国からEUによるコントロールに移れば、ほぼ連合国家と言うに相応しい状態になる。こういう状況になると「公用語はXX語のみ」なんて言っても、職業すら国境を無視して選べたら、殆ど意味が薄れてしまい「日常会話語」になってしまう。家庭によっては家の中ですら複数言語が飛び交う事すら当たり前になる。振り返って日本や周辺国の状況を見ると、顔を赤らめてしまう程国家主義が蔓延っている。国家主義や民族主義を叫ぶ人達の殆どは民族を思ってというよりも自分達の利益を最大化したくて「利用している」人々と思って見てみると「成る程」と思わずにはいられない。日本が閉塞された国にならない為には不利な点があるにしてもTPPの様な多国間経済協定等で経済活動を自由化するのが一番良い。日頃感じていた事だが、この記事に書かれている様な現実を見せつけられると、ますますその思いを強くする。(2014/05/08)

旧ソ連諸国の民族問題の複雑さを見ていると、かってスターリンが国防上の必要と言う理由で行った特定民族の強制的移住策が今こそ必要ではないかとも思えてくる。第二次大戦前に沿海州の朝鮮民族は、カザフスタンに強制移住させられたし、クリミアのタタール民族はシベリアに強制移住させられた。また、第二次大戦後、ソ連に住んでいたドイツ系住民は強制的にドイツに移住させられたと聞く。クリミアは別として、東ウクライナのロシア系住民は全員ロシアがロシア国内に引き取れば、両国の関係がもっとずっとすっきりして来るのではなかろうか?(2014/05/08)

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三品 和広 神戸大学教授