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残業代は社員達との約束ごと

箱根で旅館を8軒経営する「一の湯」の小川晴也社長(後編)

2014年5月8日(木)

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 一の湯は、箱根で2番目に古い老舗旅館である。高度成長期に建設した2軒目の「ホテル一の湯」の経営がうまくいかず、会社として厳しい状況が続いた。箱根がバブル経済に湧いていた時期も、一の湯は経営状況がよくない状況が続いた。

 経営危機に陥った一の湯は、最初はどのように改革を進めたらいいのかわからず試行錯誤を続けた。最終的に管理すべき数字を人時生産性、給与、労働分配率と定め、その数字のコントロールを始めた。

 その後、約20年を要したが、長い間続いていたホテル一の湯の赤字が解消した。一の湯の改革はその後も続く。そして、社員の所得向上とチェーン展開という会社としての成長を同時に実現できるようになった。(前回はこちら)。

一の湯本館の食事処

一の湯のこれまでの改革の中で、「人時生産性」をきちんと管理することが一番のポイントですね。

小川:その通りです。ただ、人時生産性を計算することが意外に難しい。実は、一番大事なことは労働時間を正確に把握するということなんです。タイムカードがあればすぐにできると経営者は考えがちですが、もしサービス残業を社員達にやらせていたら、基本的にこの労働時間の数字はデタラメになります。

1985年から残業代を1分単位で支払う

 かつての一の湯は労働時間を全く管理できていませんでしたので、1985年にホテル一の湯(今の名称はキャトルセゾン)の労働時間を厳格に管理し、残業代を1分単位で支払うようにしました、一の湯本館は1993年に同じように労働時間を管理するように変えました。

 残業代を100%きちんと支払うと、人件費が高騰して会社が赤字になってしまうことを怖がる経営者がたくさんいますが、自分は全く悩みませんでした。改革を進めるにはそれしかないと思っていました。

 このようなことは、社長がやり遂げないといけません。社長の信条の問題です。「尊敬される会社でありたい」と思っているので、そのようにしただけです。それに尽きます。社長が“ノー”と言えば、どんなに社員が頑張ってもできません。逆を言えば、社長が一人で決断すればできるということでもあります。残業代を払わなくて、一時的に潰れなくても、そのような会社はいずれ潰れます。時間の問題です。

 残業代は社員達との約束ごとです。払うべきものを払わないと、社員のモラルは低下しますし、社員と一緒になって会社を一つの方向に持っていくことなどできません。ただ、当時の会社には余剰人員もたくさんいましたし、離職率がそれなりに高く、採用さえきちんと管理していれば、社員数の自然減で何とかなると思っていました。また、改革を進めていきますと、それについていけない人も辞めていきました。高齢の社員も多くいて、定年制を導入すれば何とかなるという見通しもそれなりにありました。

 決算時に労働分配率は経理の担当者までは見ていましたが、一般社員にはその数字は見せていませんでした。普通の旅館ではありえない高い数字で、恥ずかしいから秘密にしていたのが実情だったんです。今は数字も正確になったので、毎月の損益表を全店舗の支配人に見せています。同じ数字でも見る人によって見方が変わり、より多くの人が見ることで、さらに多くの英知を集められるようになりました。だから一の湯では同じ数字をみんなで見るようにしているのです。

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「残業代は社員達との約束ごと」の著者

内藤 耕

内藤 耕(ないとう・こう)

サービス産業革新推進機構代表理事

世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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