今回は、組織の中での身の処し方やリーダーとしてどうあるべきかを、本や映画、ドラマなどから学んでいきたいと思います。
処世術は、メンターやスポンサーなどの“人”から教わるだけではありません。先人たちが我々に残してくれた“本”を活用しない手はありません。組織の上に立って組織を引っ張っていく、マネジメント手法を紹介した本は、中国の古典はもとより非常に多くあります。経営者が中国の古典などを愛読しているのには、きちんと理由あるのです。
ただ、難しい書籍は勘弁してほしいという人もいるでしょう。そんな人には、映画やドラマがお勧めです。「映画やドラマなんて役に立つの?」と侮ってはいけません。特にアメリカの映画、ドラマは秀逸で、すぐに役立つノウハウが詰まっています。
コンサル時代は「本を読め!」と怒られた
私は、27歳まではインターネットエンジニアとして勤務していましたので、古典の戦略論やリーダーシップ論はほとんど読んでいませんでした。ですが、ボストン・コンサルティング・グループという戦略コンサルティング会社に転職してからは、あまりの無知さに先輩から「もっと本を読め!」と怒られて、読書を始めました。
最初のころは、ビジネス書が中心でした。仕事のスキルを学ぶための教科書として読んでいたのですが、その後、もっと違う本の読み方をするようになっていきました。
例えば、生きていくのがあまりに辛い出来事があった時。自分の境遇に近い描写の小説に「私の辛さ分かってくれるよね」と涙し、支えられました。ノンフィクションのドキュメンタリーには、逆に「お前の生き方なんぞ甘すぎる!」と発破をかけられました。
いろいろな角度から読むうちに、本は、職場での処世術をはじめ、リーダーとしてどうあるべきか、人としての生き方を教えてくれる先生のような役割になっていきました。
そして、本だけではなく、映画やドラマも、単なる娯楽ではなく“仕事に役立つんだ”という見方ができるようになってきたのです。
映画『ゴッドファーザー』(パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン)をはじめ、映画やドラマには男社会の典型が描かれていることが多いので、「男ってこんなこと考えているんだ!」と男心の参考になります。ほかにも、社内政治での身の処し方をはじめ、「おじさん VS 若者」の世代間コミュニケーション術まで、実に様々なことが学べます。
しかも、映画やドラマは、エンタテインメントとしても楽しめるように作られているので(すべての映画・ドラマがそうだとは言えませんが……)、忙しくて心に余裕のないときでも、ハードルを低くして見られる利点があります。疲れたときに、気分転換も兼ねて見た映画・ドラマで救われた経験は数多くあります。
シニアマネジメントに上って行く過程では、機密保持の観点から人には相談できない、もしくは相談しにくい悩みも多く生じます。こんなとき、私は、本・映画・ドラマを見るようにしました。先人たちはどのように乗り越えて行ったのかを学べますし、自分のよき相談相手になってくれます。
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