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外国人が熱愛する日本の鉄道、期待の星は?

2014年5月22日(木)

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猫駅長に会いに世界中から観光客が訪れる

和歌山電鐵貴志川線

2009年に登場した貴志川線のリニューアルデザイン列車第3弾「たま電車」は、たま駅長をモチーフにしており、列車には101匹のたまがいる。デザインは「ななつ星」も手がけた工業デザイナーの水戸岡鋭治氏

 和歌山電鐵貴志川線は、和歌山駅から貴志駅まで全14駅(全長14.3km)を結ぶローカル鉄道です。2003年に当時の運行会社である南海電鉄が廃止検討を表明。一時は廃線の危機に立たされましたが、住民からの存続を望む声を受け、沿線自治体が鉄道用地を買い取り。公募で選ばれた岡山電気軌道が設立した和歌山電鐵が運行を引き継ぎました。

 和歌山電鐵が掲げる鉄道のコンセプトは「日本一心豊かなローカル線になりたい」。2006年に経営を引き継ぐと、すぐに2500人以上のサポーターから1000万円を超える資金を募り、貴志川特産のいちごをモチーフに列車をリニューアルデザイン。同年8月「いちご電車」の運行を開始しました。2007年1月には、貴志駅売店「小山商店」の飼い猫だった三毛猫のたまを貴志駅の駅長にして一躍注目を集め、貴志川線の利用者数を前年同月比20%増としました。関西大学大学院の宮本勝浩教授らは、たま駅長就任1年間の経済波及効果は約11億円になると試算しました。以降の活躍はご存じの通りです。

 和歌山電鐵は、駅や電車を移動の手段から目的に変えた先駆的事例であり、今の鉄道ブームを生むきっかけの一つにもなりました。

 筆者が貴志川線に乗車した2012年8月、そこには既に猫顔の駅舎に歓声を上げ、写真を撮る多くの外国人観光客の姿がありました。たま駅長は国内ではすでに全国区の人気を誇っていましたが、外国人観光客が猫の駅長を見るため、わざわざ日本のローカル鉄道に来るとは思いもよりませんでした。

写真左:2006年に登場した貴志川線の第1弾リニューアルデザイン列車「いちご電車」。写真中: 2010年にリニューアルされた新駅舎「たまミュージアム貴志駅」は猫顔、屋根は檜皮葺。デザインはすべて水戸岡鋭治氏。写真右:貴志川線和歌山駅。たまやニタマの勤務予定が掲示されている

 猫が駅長を務める鉄道。加えていちごやおもちゃ、猫駅長のたまをモチーフにデザインされたユニークな電車たち。駅舎は猫顔、中には「たまの駅長室」があり、「たまカフェ」を併設。駅の通路やトイレにもたまがいて、駅や電車はさながらテーマパークのようです。こんな鉄道は他にはありません。そのデザインのすべてを手がけたのが、「ななつ星」のデザイナーでもある水戸岡鋭治氏です。たま電車には101匹のたまが描かれ、座席シートや床まで三毛猫模様が配されています。ここまでのこだわり、徹底したキャラクターの世界観の追求は、他のラッピング電車や観光列車を寄せ付けない完成度を有しています。

 2013年の和歌山県における外国人宿泊者数は過去最高となる21万人(前年比8割増)を突破。欧米の観光客には高野山が人気ですが、5割を占める香港や台湾の観光客の人気を集めたのは和歌山電鐵のたま駅長といちご狩りだといいます。

 貴志川線はすでに訪日観光の人気コースとなっており、平日でも1~2組、多い日には4~5組の団体客が訪れるといいます。個人客も多く、時間帯によっては乗客の半数が外国人ということもあるとか。2013年度は香港や台湾を中心にアジアから前年度の2.5倍となる約2万人が訪れ、2006年に和歌山電鐵が経営を引き継いで以降、初めて乗客数が220万人を超えました。貴志川線として乗客数が220万人を超えるのは2001年度以来とのことです。

写真左:貴志駅内にあるカフェのカップにもたまが描かれていて、持って帰りたくなる。写真中:たまのグッズもたくさん。写真右:この日はたま駅長はお休みで、代行のニタマ駅長が出勤中

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「外国人が熱愛する日本の鉄道、期待の星は?」の著者

水津 陽子

水津 陽子(すいづ・ようこ)

合同会社フォーティR&C代表

経営コンサルタント。合同会社フォーティR&C代表。地域資源を活かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、コンサルティング、調査研究、執筆等を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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