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ソニーさん、テレビを売るにはまずスマホ

現状は中古市場でもサムスンに完敗

2014年5月29日(木)

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 先週までちょうど一年間住んだ築80年の上海の家は、3階にある半屋根裏の自分の部屋に行くのに2階の住人の家の中を横切る造りになっていた。当然、通るたびに家の中の様子は丸見えだった。上海人の家族で、90歳の老夫人と50代の娘夫婦の3人暮らし。8畳間が二間に6畳間が一間という間取りだ。日本風に言えばこの家が一族の「本家」のようで、最長老の老夫人の様子を見に、ほぼ毎週末、10~15人もの親族がこの家に集まり、老夫人を囲んでにぎやかに晩ごはんを食べる。一族を挙げて老夫人を大切にしている様子がわが家の床を通して伝わってきたものだ。

 さて私はこの家を通って上り下りする際、ジロジロ見ては失礼だといつもあらぬ方向を見て足早に通り過ぎていたのだが、それでもいやおうなしに毎回、目に飛び込んでくるものがあった。老夫人の部屋とリビングにそれぞれ一台ずつある大型テレビだ。特に老夫人の部屋にあるテレビがデカイ。そして「SAMSUNG」のロゴ。リビングにある一回り小さなテレビには「SONY」のロゴが付いていた。それを見るたび、ああ、中国人が一番大切な部屋――この家ならば老夫人の部屋――に置くテレビは日本ブランドじゃなくなったんだな、と軽い失望を覚えた。

老夫人の部屋に鎮座するサムスンのテレビ。ベッドに寝ながらでも字幕がよく見えるので大変満足しているという

ソニーも松下もオレは大好きだ!

 上海の賃貸住宅は基本的な家具家電が付いているということは以前にも書いた。2年前まで住んでいたアパートでのこと。その家のテレビは中国ブランドChangHong(長虹)のブラウン管テレビだったのだが、ある日、60代後半の大家が連絡してきて、「テレビを新調してやる。明日運ぶから家にいろ」という。どちらかといえばケチな印象のあった大家だったので、自らテレビを買い替えてくれるなんて珍しいことがあるものだと楽しみにしていた。

 翌日。「電視来了~」(テレビが来たよ~)と、いささか浮かれた声を出しながらやって来た大家の後ろに、小太りな男二人がふうふう言いながら階段で4階まで抱えてきたテレビを見て心底ガッカリした。厚みが50センチはあろうかという、やはりブラウン管のテレビだったからだ。大家が自宅のテレビを薄型に新調し、それまで使っていたテレビを持ってきたのだろうというのは一目瞭然だった。

 新調したって、買ってくれたんじゃないんですねと、嫌味をかますと、大家は聞こえないふりをして、「どうだ、ソニーだぞ。お前の国のだよ。映像がキレイだぞ。日本製は優秀だ。松下もソニーもオレは大好きだ」とまくし立ててそそくさと帰っていった。

 調べてみると、ソニーの28型ブラウン管テレビ「WEGA」(ベガ)だった。恐らく1990年代に買ったものだろうが、フラットな画面に映る映像は確かにキレイで、厚みがあり場所をとることさえ気にしなければ、機能的には液晶の薄型テレビにする理由を特に感じられないほど。それに、「日本製は優秀だ」「ソニーも松下も大好きだ」と言われれば、悪い気がしないどころか率直にうれしい。

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「ソニーさん、テレビを売るにはまずスマホ」の著者

山田 泰司

山田 泰司(やまだ・やすじ)

著述業/EMSOne編集長

1992~2000年香港で邦字紙記者。2001年の上海在住後は、中国国営雑誌「美化生活」編集記者、月刊誌「CHAI」編集長などを経てフリーに。2010年からは、「EMSOne」編集長も務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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