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お客様が喜べば原価は下がる

創業明治6年、会津の老舗旅館「向瀧」(後編)

2014年6月5日(木)

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 会津の老舗旅館「向瀧」は、今でこそクチコミサイトで人気の宿だが、バブル崩壊後は売上が半分まで落ち込むという厳しい時期が約20年も続いた。向瀧の平田裕一社長と真智子女将は、新卒社員を採用し、働く環境の地道な改善を進め、ここに来てやっと復活を果たした。今回は向瀧の復活を実現した、改善活動の詳細を紹介していく。そこにあったのは、会津らしい“地味にコツコツ”の積み重ねだった。(前回はこちら

向瀧の夜の庭の眺め

向瀧が今のように人気の宿に復活する過程で、大きく注力したポイントはどこですか?

平田:「食材の仕入れ」は、私が大きく変えたポイントの一つです。

 2002年に代替わりをする前から、料理に関しては根底から変えたい部分がたくさんありました。かつては出来合いの加工品を使いながら、献立を構成しているという、納得がいかないものでした。

 以前は、一般的な懐石料理をお客様に出していました。しかも、加工品が多くを占めていたわけです。自分はこれを会津の郷土料理に変え、ここでなければ食べられないものにしたかったのです。

 しかし、調理という専門職の聖域をなかなか崩すことができずにいました。代が変わる1年ぐらい前から「料理をこう替えたい」と板前に伝えられるように、まず自分が考えなければと思い、自分が会津に来たら食べたい献立をパソコンに打ち込み始めました。自分の献立案を実現するためには、仕入れ先の見直しも必要になります。

 2002年5月に社長を引き継いだときに、加工品は全て止めて、全ての料理を手作りに戻すと宣言しました。それにより、調理場の板前は揃って辞表を出して、向瀧を去ってしまいました。大きなピンチではありましたが、同時に、思い描いた料理に替えていくチャンスでもありました。会津の美味しい食材を使った料理を提供することに向かって邁進しました。

コメント3件コメント/レビュー

古い仕来たり=伝統?=守らななければならないこと?食はその地域の文化で伝統ですね。しかしながら、生産すること、加工すること、そして食べることそれぞれを取り巻く状況は変化するので、それに合わせて新しい技術を取り入れるべきであることは忘れてはならない。しかしながら、効率を追求するあまり作業者の手順を事細かに規定して競わせることがはたして効率的か、行き過ぎもかえって非効率性を生み出すという人間の特性にも留意する必要がある。(2014/06/05)

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「お客様が喜べば原価は下がる」の著者

内藤 耕

内藤 耕(ないとう・こう)

サービス産業革新推進機構代表理事

世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

古い仕来たり=伝統?=守らななければならないこと?食はその地域の文化で伝統ですね。しかしながら、生産すること、加工すること、そして食べることそれぞれを取り巻く状況は変化するので、それに合わせて新しい技術を取り入れるべきであることは忘れてはならない。しかしながら、効率を追求するあまり作業者の手順を事細かに規定して競わせることがはたして効率的か、行き過ぎもかえって非効率性を生み出すという人間の特性にも留意する必要がある。(2014/06/05)

■板前の個人技(独擅場)だったのを、調理場以外の人も手伝うようにできたのが大きいと思います。 (1)職場の垣根をなくす意識変革 (2)あらゆる作業が改善の対象という意識変革 ■板前が全員辞めたとき、平田社長はどういう心境だったのでしょう。焦ったのでしょうか。よい契機だと思ったのでしょうか。(迷亭寒月)(2014/06/05)

すばらしい記事でした。続編を期待します。(2014/06/05)

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