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国籍・言語を超えて「アート」は人を呼ぶ

地域の持つ魅力と融合、継続的展開がカギ

2014年6月5日(木)

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直島の南側にある立体塩田跡地に建てられた「地中美術館」は、大半の建物が地中に埋められている。直島は27の小さな島からなるアーキペラゴ(群島)。海に浮かぶ島々と船が行き交う美しい景色が見られる(写真は筆者撮影)

 近年、従来の物見遊山とは異なる、地域ならではの資源を活かしたテーマ性の高い体験・交流観光「ニューツーリズム」の人気が高まっています。中でもアートを活用した観光まちづくりは、地域に大きな経済的効果と社会的インパクトを与える事例が相次いでいます。

 一例を紹介すると、ミュージアム系では2004年「金沢21世紀美術館」が開館1年目に入館者数150万人を達成、今もその人気を維持しています。イベント系では2000年に始まった「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」が5回目となる2012年、48万人を集めるイベントに成長。瀬戸内の島々を舞台にした「瀬戸内国際芸術祭2013」は延べ107万人を集め、132億円の経済波及効果を地域にもたらしました。いずれも国内外から注目され、多くの観光客を集める事例です。

インバウンド観光で注目浴びる現代アート

 平成22年、観光庁が全国の国公立・私立博物館359館を対象に行った「博物館等の文化施設における外国人旅行者の受入に関する調査」によると、訪日旅行に際して期待するものとして「博物館・美術館」と回答した人は23.8%。これに対し、実際に「博物館・美術館」に行った人の満足度は17.5%で、6.3ポイント低下という結果になりました。

 一方、日本の博物館・美術館への興味・関心を訊ねたところ「とてもある」25.1%、「少しはある」38.3%で合計63.4%が関心を持っています。しかし博物館・美術館の訪日客対応の現状は、外国語ホームページを作成している施設は43.8%、外国人来館者数の集計を行っている施設はわずか21.6%。しかもこれは、外国人来館者数が近年増加傾向にある施設が37%、来館者に占める外国人の割合が1割以上の施設が8%という中での数字です。

 この原因はどこにあるのでしょうか。アート自体を目的としたインバウンド観光の市場を海外と比較してみると、そこには大きな差があります。アートの担い手である美術館・博物館の現状を世界のミュージアムと比較してみれば、課題が浮かび上がります。

 入館者数(2012年)の世界1位はフランスの「ルーブル美術館」の970万人、2位はニューヨークの「メトロポリタン美術館」の611万人、3位はロンドンの「大英博物館」の557万人です。これに対して、日本は28位の「東京国立博物館」の155万人が最高で、以下「京都国立博物館」、「奈良国立博物館」、「九州国立博物館」を合わせた4館合計でも333万人。国立美術館(東京・京都・西洋)の77万人を足しても、同じアジアで世界トップ7にランクインした台湾の「故宮博物館」の436万人に及びません。

 原因の一つが施設等の規模の違いです。展示面積ではルーブル美術館6.1万平方メートル、大英博物館5.7万平方メートルに対し、東京国立博物館は1.8万平方メートル。収蔵品数でも大英博物館800万点、ルーブル博物館35万点に対し、東京国立博物館は11万点と水を開けられています。

 日本の博物館は文化財保護法により、第一の目的が「文化財を守る」ことに置かれ、公衆の「観覧」に供するのはその次です。日本には2010年10月時点で6000近い博物館があるそうですが、その多くは収蔵品をガラス越しに眺めるもの。展示内容も専門的過ぎて親しみや面白みに欠ける例が多く、アートが市民よりも博物館や研究者の側にあるようにも感じます。入館者数の低迷に悩む博物館・美術館も増えており、地域によっては文化財の適切な保存が難しくなるところや、保存するコストを文化財自身が生み出す必要に迫られるところが出てくるでしょう。

 これに対して、海外のミュージアムの多くはガラスの仕切りもなく、写真撮影が可能なところや写生をする人などもいて、ミュージアムは市民にとってより身近な存在です。

 そんな中、新しい試みを加えた様々な現代アートが近年、海外からの訪問客も引き寄せる実績を上げています。例えば瀬戸内国際芸術祭の中核的存在である直島は、観光ガイドブック「ロンリープラネット」のJapan's TOP25でアートで唯一20位にランクインし、海外の有力旅行雑誌でも取り上げられています。

 今回は、そうした現代アートの取り組みの中に日本のアートツーリズムの可能性を探ってみましょう。ミュージアム系の事例として、町を一つの美術館に見立てた「Arts TOWADA(アーツトワダ)」の挑戦を、そしてイベント系の事例として現代アートの島「直島」を取り上げます。

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「国籍・言語を超えて「アート」は人を呼ぶ」の著者

水津 陽子

水津 陽子(すいづ・ようこ)

合同会社フォーティR&C代表

経営コンサルタント。合同会社フォーティR&C代表。地域資源を活かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、コンサルティング、調査研究、執筆等を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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