• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

目に見えない壁を取り除く「暗やみの中の対話」

A・ハイネッケ氏(ダイアログ・イン・ザ・ダーク創設者)の半生(上)

2014年6月16日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

アンドレアス・ハイネッケ氏
1955年ドイツ・バーデンバーデン生まれ。ハイデルベルク大学で歴史を学び、ゲーテ大学で哲学博士号。ジャーナリストとして活動した後、1988年ダイアログ・イン・ザ・ダークを設立。(写真:川島一郎、以下同)

 社会の問題解決につながるアイデアを実現し、事業化していく社会起業家、チェンジメーカー。米国人のビル・ドレイトン氏が率いる市民組織アショカは、そうした社会に変革を起こすチェンジメーカー達(アショカ・フェロー)を世界中で探し出し、スタッフとフェローが一体となって社会変革の規模と速度を加速するために活動している。本連載ではそんなチェンジメーカー達の素顔や活動内容を、随時レポートする。

 人材コンサルタントのYさんは4年前、友人のブログで “暗やみの中の対話”という体験プログラムの存在を知った。中学3年生の息子の扱いに悩んでいた彼女にはピンとくるものがあったという。思春期真っ盛りの男子のご多分に漏れず、親を罵倒する以外は日頃、母親と口もきかない息子を誘ってみた。「暗やみの中の対話」という言葉にそそられたのか、珍しく一緒についてきた。

 東京・青山にある会場に着くと、目の不自由なリーダーに導かれるまま、チームに分かれて暗やみへ。杖を片手に慣れない砂利道をやっとの思いで進み、橋を渡ったりしながら、よく分からない場所に到着する。どうやらそこにはテーブルと椅子があるらしい。席に着いた後は、皆でゲームに興じたり、お茶を飲んだりする。

 暗やみでは、ブロックを積み上げたり、カップにお湯を注いだりといった、普段は当たり前にできることが、何ひとつ当たり前にできない。暗やみでは一緒にいる人たちと声をかけ合い、協力しなくては何もできない。甘えは通じない。

みずほ証券、トヨタ自動車なども研修に利用

 「息子はその神秘的な体験の後、変わりました。それまで自分から他人に話しかけることがなかった息子が周りの人たちに心を開くようになった」とYさんは振り返る。

 この「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DiD)」と呼ばれるプログラムの生みの親であるアンドレアス・ハイネッケは、ドイツを代表する社会起業家すなわち、チェンジメーカーだ。

 日本では、1999年から始まり、これまでの参加者は10万人を超える。みずほ証券やトヨタ自動車、NTTドコモ、資生堂などの社員研修としても利用されている、東京会場に加えて、2013年には大阪会場もオープンした。

人と人の間にある見えない「壁」を取り除く

 ハイネッケは、人と人の間に立ちはだかる壁を取り除くために、小さな石を積み重ねるような努力を四半世紀にわたり続けている。

コメント3件コメント/レビュー

石川達三の書いた「人間の壁」という小説があります。私は、この本を中学生のときに読みました。中学生がどうしてこのような本を読んだかとというと、たまたま兄が買ってきた本があったからです。この本で、一番印象に残っているのは、次の挿話です。足の不自由な少年が父親と貧しく暮していました。そして、ある嵐の朝、少年は線路の反対側にある店が文房具の特売をやったので、文房具を買いに行き、その帰りに列車に轢かれてしまいます。担任の先生がその子の家を訪ねたとき、指物師である父親が、棺をつくるために、少年の身の丈を測ってゆきました。この担任の先生は、この足の不自由な少年をからかった有力者の子供を、思わず殴ったということがあったので、職を追われます。それ以来、「人間の壁」という、この重い言葉をしばしば実感させられてます。(2014/06/16)

「素顔のチェンジメーカーたち:Changemakers Up-close」のバックナンバー

一覧

「目に見えない壁を取り除く「暗やみの中の対話」」の著者

渡邊 奈々

渡邊 奈々(わたなべ・なな)

アショカ・ジャパン創設者&代表

東京生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。1980年米ニューヨークで写真家として独立。1987年アメリカンフォトグラファー誌年度賞。2011年10月からアショカ日本支部の代表として運営に携わる。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

石川達三の書いた「人間の壁」という小説があります。私は、この本を中学生のときに読みました。中学生がどうしてこのような本を読んだかとというと、たまたま兄が買ってきた本があったからです。この本で、一番印象に残っているのは、次の挿話です。足の不自由な少年が父親と貧しく暮していました。そして、ある嵐の朝、少年は線路の反対側にある店が文房具の特売をやったので、文房具を買いに行き、その帰りに列車に轢かれてしまいます。担任の先生がその子の家を訪ねたとき、指物師である父親が、棺をつくるために、少年の身の丈を測ってゆきました。この担任の先生は、この足の不自由な少年をからかった有力者の子供を、思わず殴ったということがあったので、職を追われます。それ以来、「人間の壁」という、この重い言葉をしばしば実感させられてます。(2014/06/16)

今から7,8年くらい前に、体験しました。非日常を経験し、日常を客観的に見つめ、人とのつながりの大切さを感じたりしました。一つ、違和感があったのが、当時は、何度も体験しているIDマニアみたいな人がいることで、その人が仕切って語ると、他の人が醒めていくみたいなことがありました。(2014/06/16)

こう言うことなんだ― しかしそう判ったような、理解したつもりの自分では矢張りダメ乃至理解されないようだ。今から45年前になろうか、ある福祉の事業企画に携わった時のこと、その趣旨に共鳴共感、自他供研鑽を積んで自分では充分理解した上の参画であったが、現場で身体の不自由な人たちとの接触の場において悉く容れて貰えないばかりか、辛くつらく当たられた想いが甦る。一寸ともわかっちゃいない、おいらのこと何を判っていると言うのかと言い放たれ、当事者として正にナマの声を聞かせて欲しいだけ、別に来てくださいとお願いした訳でもない等と心底思った私。皆さんのことを想って私たちはなどと、不埒なことを考えていないのにと私が思えば思うほど身体の不自由な人たちには見透かされていたのだろうかと今思う。抗弁も弁解も心中封印、自分が今この場にいることその事が相応しくないに相違ないと私の心にも痛手だったことを思い出す。この一文は「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DiD)―暗やみの中の対話―」と呼ばれるプログラム以上、私に半世紀来一筋の光明をもたらしたと感謝する。(2014/06/16)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

小池さんがこの言葉(排除)を述べたことで、「風」が変わっていきました。 ただし、小池さんが言ったことは正論です。

若狭 勝 前衆院議員