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米価維持、奇手を阻んだ「感情問題」

減反廃止と補助金制度のはざまで

2014年6月13日(金)

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 2018年に迫ったコメの生産調整(減反)の廃止をにらみ、各地の農協がどう対応すべきか頭を悩ましている。主食のコメの生産を制限する面積を国が指示するのをやめたあと、どうやって米価が下がるのを防ぐのか。この難題を解決するため、関東地方のある農協が“奇手”をくり出した。

 「すごい変化球を投げようとしている」というのが、今年2月にはじめて計画を聞いたときの感想だった。その仕組みはかなりややこしいが、ポイントは、減反に関係する補助金をフルに国から引き出し、農家で分け合うことにある。

“みなし減反”で補助金を申請して分配

 具体的には、いままで減反に協力してきた農家Aに、減反面積をさらに増やしてもらう。減反した田んぼでは、今年から補助金が拡充された飼料米をつくる。するとこの農家は、主食のコメの売り上げが減る一方、飼料米の補助金は増える。

 差し引きすると、手取りは若干増える。だが、これだけで農家Aに減反面積を大幅に増やすよう頼むのは難しい。そもそも、減反を望んでやっている農家などほとんどいないからだ。そこで、これまで減反に協力してこなかった農家Bと農家Cを、計画に引っ張り込む。

 このあとが複雑。減反に協力すれば、飼料米などをつくったときに出る補助金のほかに、主食のコメを対象にした補助金も受け取ることができる。農家Bと農家Cは引き続き減反には協力しない。だから、どっちの補助金も出ない。そこで、農家Aが減反面積を増やした分を、農家Bと農家Cが減反に参加したと見なし、補助金を申請するのだ。

政府は飼料米の補助金の拡充を決めたが……。(飼料米のクサホナミ)

 すると、農家Bと農家Cはいままでと変わらず、減反には参加していないのに、補助金の支給対象になる。もちろん、そのままでは減反を大幅に増やした農家Aがおさまらない。「なんで農家Bと農家Cのために、自分が苦労しなければならないのだ」と怒るだろう。

 そこで、農家Bと農家Cがなにもせずに受け取る補助金の一部を、農家Aに回す。こうして、農家Aに減反を増やすよう説得するのだ。この間の煩雑な計算は省くが、試算によると、10アール当たりの収入は農家Aが4800円、農家Bと農家Cがそれぞれ4350円、3750円増える。BがCより多いのは、試算の設定でBの田んぼをCより広くしたからだ。そして、一番汗をかく農家Aの増収はもっとも大きくなる。

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「米価維持、奇手を阻んだ「感情問題」」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師