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なぜ、高学歴の人物が、深い知性を感じさせないのか?

2014年6月16日(月)

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なぜか「知性」を感じさせない「高学歴」の人物

田坂教授は、5月に、新著『知性を磨く「スーパージェネラリスト」の時代』(光文社新書)を上梓されました。この連載『知性を磨く スーパージェネラリストへの成長戦略』では、ビジネスパーソンは、いかにして、日々の仕事を通じて「知性」を磨いていくべきか、そして、「七つのレベルの知性」を垂直統合した「スーパージェネラリスト」へと成長していくことができるかについて、伺いたいと思います。

 まず、この連載第1回のテーマは、「なぜ、高学歴の人物が、深い知性を感じさせないのか?」です。

 最初から、随分、刺激的なテーマですね?

田坂:そうですね。正確に言えば、「なぜ、高学歴の人物が、必ずしも、深い知性を感じさせないのか?」と言うべきですが、実際、高学歴を誇る人物を見ていて、たしかに「頭は良い」とは思うのですが、あまり「賢い」とは思えない人物がいるのではないでしょうか? 「頭は良い」が、「思考に深みが無い」人物です。

深みの無い「新事業企画」

例えば、どのような人物でしょうか?

田坂:例えば、ビジネスの現場で、次のような場面を見かけたことがないでしょうか?

 ある若手社員が、社内会議で、新事業企画について見事なプレゼンテーションをする。弁舌は爽やか。立て板に水。頭の回転は速い。話も論理的。プレゼンのスライドも見やすく、選び抜いた言葉を使う。さすが、偏差値の高い大学を、優秀な成績で卒業しただけある。本人も、このプレゼンで、自分の提案する新事業企画が、十分な説得力をもって説明できたと思っている。

 しかし、なぜか、その会議に出席した中堅のマネジャー諸氏からコメントが出ない。皆、悩ましく思いながら、言葉を選んでいる。そして、ようやく、一人のマネジャーが、全員の気持ちを代弁するように言う。

「理屈では、たしかに、そうなのだけれど……」

 経験豊かなマネジャーは、誰もが感じている。新事業開発というものは、この若手社員が語るほど、簡単に理屈で割り切れるものではない。市場規模の数字や事業戦略の論理の向こうに、顧客の生の声や思いというものがある。そのことは、一度でも新事業開発に真剣に取り組んだ人間ならば、誰もが分かっていること。ただ、そのことを説明しても、まだ経験の浅いこの若手社員には、おそらく理解できないだろう。熟練のマネジャーは、皆、そう思っている。

 思わず、この若手社員が聞く。「何が、問題なのでしょうか?」
 その質問に対して、マネジャーの一人が、言葉を選びながら答える。

「何と言うか、この企画は、少し深みが足りないんだね……。
 新事業企画には、数字などのデータには現れない要素が沢山ある。
 もう少し、そうした『目に見えないもの』を
 考えてみたらどうかな……」

 ビジネスの現場で、こうした場面を見たことがないでしょうか?

思い当たるシーンが、心に浮かびますね……(笑)。

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「知性を磨く スーパージェネラリストへの成長戦略」のバックナンバー

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「なぜ、高学歴の人物が、深い知性を感じさせないのか?」の著者

田坂 広志

田坂 広志(たさか・ひろし)

多摩大学大学院教授

1974年東京大学卒業、81年同大学院修了。工学博士(原子力工学)。米シンクタンク客員研究員などを経て、2000年多摩大学大学院教授に就任。2011年3~9月、東日本大震災に伴い内閣官房参与に就任

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中谷 巌 「不識塾」塾長、一橋大学名誉教授