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米多国籍企業はいかにして法人税を逃れているのか

2014年6月13日(金)

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 米国の多国籍企業の多くが米政府に法人税をまともに支払っていない――。

 聞き捨てならないことだが、実は過去何年も、この状況に大きな変化はない。今月5日に発表された米大企業の納税報告書によると、2013年、米国庫に入るべき法人税約900億ドル(約9兆円)が納められていないことがわかった。

 大変な額である。しかもこの9兆円は米国に本社を置く多国籍企業が支払うべき額で、中小企業も含めるとどれほどになるかは定かではない。ちなみに、多国籍企業の定義はいくつかある。売上高が上位500位以内で、米国以外の5カ国以上に子会社を持つ組織を指すのが一般的だ。

多国籍企業の実質税率は中小企業よりも低い

 多国籍企業が法人税をすり抜けるカラクリについて述べる前に、現状を少し説明したい。

 米国の非営利団体「全米公共利益調査グループ(USPIRG)」と「公正な税制のための市民団体(CTJ)」が共同で実施した調査によると、フォーチュン500社のうち、362社(72%)が法人税の支払いを回避する行動を取っていたことが分かった。

 ここで指摘する必要があるのは、そうした大企業の企業行動は違法な「脱税」ではなく、法の網の目をくぐった「節税」であるということだ。このため、多国籍企業が訴訟の対象になるということではない。

 しかしながら、国外のビジネスで発生した利益に対して、米政府にまったく法人税を支払っていない多国籍企業もあり、いかがなものかとの声は強い。

 2011年3月に米財界を驚嘆させたニュースは記憶に新しい。電気・金融大手ゼネラル・エレクトリック(GE)が2010年、140億ドル(約1兆4200億円)もの利益を上げながら、法人税をまったく納税していないことが米ニューヨーク・タイムズ紙のスクープで判明した 。

 このニュースが報じられた直後、バラク・オバマ大統領は法人税改革を口にしたが、3年経った今も改革は進んでいない。実際に米多国籍企業が支払う法人税はかなりの低率に抑えられており、それが恒常化している。

 フォーチュン500社に名を連ねる多国籍企業の連邦法人税率は昨年、6.7%という低率だった。正規の連邦法人税率は、さまざまな条件によって異なるが、簡単に述べると企業収入に応じて15~39%となっている。

 6.7%という数字は「ほとんど無税」と書いても差し支えない率である。というのも、多国籍企業を除いた米企業2000社の平均法人税率は約28%だからだ。中小企業や個人から憤懣が漏れても当然である。

 10年前(04年)の米財務省の資料を眺めると、多国籍企業が国外で上げた純利益は約7000億ドル(約71兆円)でありながら、連邦政府に支払われた税額は160億ドル(約1兆6300億円)に過ぎなかった。税率にするとたった2.3%で、当時からこの潮流はあったのだ。

 多国籍企業は米政府にとって、もはや利益にならない存在、というのは言い過ぎだが、対策を講じて実践する必要がある。

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「米多国籍企業はいかにして法人税を逃れているのか」の著者

堀田 佳男

堀田 佳男(ほった・よしお)

ジャーナリスト

1957年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業後、アメリカン大学大学院国際関係課程修了。米情報調査会社勤務後、90年にジャーナリストとして独立。政治、経済、社会問題で取材活動をつづけ、滞米25年後に帰国。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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