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業績ランキングを公表すると、売り上げが落ちる?

労働契約や仕事内容でまるで逆の結果に

2014年6月17日(火)

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 営業成績を壁に貼り出したり、業績のランキングを職員に知らせたりすることで競争心をあおり生産性・利益を高めようとしている企業は多いが、それは果たして有効な手段なのか、真剣に考え直す必要があるかもしれない。

 米ペンシルベニア大学のイワン・バランケイ准教授は、北米でオフィス用の家具を販売する会社に勤める1754人の営業担当者を対象に3年にわたって実験を行い、社内での自分の営業成績のランキングを知ることが実際に売り上げの向上につながっているのかどうかを調べた。そして実験研究の結果、営業成績のランキングの公表は、実は売り上げを減らしていることが分かったのである。

 この会社では、実験が始まるまで数年にわたり、営業担当者が会社のホームページにログインした時、全米の営業担当者全員の中での自分の営業成績のランキングが表示されるように設定してあった。その仕組みを活用し、バランケイ准教授は、実験でセールス担当職員を4つのグループに分けた。

 第1のグループに対しては、ログインの時に営業成績のランキングを見せないようにした。第2のグループに対しては、引き続きランキングを表示し続けた。第3のグループに対しては、ランキングの代わりに、あとどれくらい売り上げを増やせば上位10%、25%、50%のグループに入ることができるかという情報を示した。第4のグループに対しては、あとどれくらい売り上げを増やせば上位グループに入ることができるかという情報とランキングを両方示した。そして3年にわたって、4グループのセールス担当者の売り上げを観察した。

ランキング情報が見えなくなったら11%増収

 その結果、ログイン画面でランキングの情報が見えなくなった第1グループの売り上げは11%も向上した。これは逆に考えると、今までランキングの情報を提示していたことによって、売り上げが11%減少していたことを示唆している。引き続きランキング情報がログインページに掲示され続けた第2のグループは、4つのグループの中で売り上げが最低だった。ランキングと一緒にあとどれくらい売上高を増やせば上位10%、25%、50%のグループに入ることができるかを示した第4のグループの場合、追加の情報によって売り上げは増えたが、それでもランキングの情報を全く表示しない第1のグループと同程度の売上高でしかなかった。

 この実験から、競争の心理を利用することによる売り上げ向上を目的に表示される営業成績のランキングは、売り上げの向上につながらないばかりか、むしろ減らしていることが明らかになったのである。

コメント3件コメント/レビュー

会社の営業部門において中堅どころの仕事は、“自分の営業ノルマ”+“若手の育成”となっていることがほとんどではないだろうか。(2014/06/23)

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「業績ランキングを公表すると、売り上げが落ちる?」の著者

田中 知美

田中 知美(たなか・ともみ)

合同会社エッジ代表

米ハワイ大学経済学科博士課程修了。カリフォルニア工科大学ポスドク、アリゾナ州立大学助教授、慶応義塾大学特任准教授などを経て現職。専門は行動経済学・政策実験。1969年長崎県生まれ。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

会社の営業部門において中堅どころの仕事は、“自分の営業ノルマ”+“若手の育成”となっていることがほとんどではないだろうか。(2014/06/23)

努力したからといってそれが直接業績に結びつくわけではない。いくら営業を頑張っても契約が取れないことはよくある。まさにこれに尽きるでしょう。高度経済成長時代には、過半数の人が頑張れば対前年比の売上を増加させることもできたが、ゼロ成長時代には対前年比の売上を上げ続けられる方はむしろ少数派。成績貼り出し行為はその方のメンツを潰し、まるで自分自身の存在が否定されたかのように受け取り、やる気をなくしてしまうのも、ある意味当然のことです。(2014/06/18)

おそらく下記のようなことが起こっているのではないだろうか?成績がトップかそれに近い人は、比較情報を知ることによってますますやる気が出る。それ以外の人はやる気を削がれてしまう。ということは、成績の良い人にだけ比較情報を知らせて、それ以外の人には知らせないという方針が良いのではないだろうか?だれか、行動経済学の専門家の方、実験してもらえないものだろうか。(2014/06/17)

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