「意味のない訪問をするな」。
企業の営業現場に入って、目標を絶対達成させるためのコンサルティングをしていると、先方の営業部長や課長が部下の営業担当者たちにこう言っている場面に出くわすことがあります。
確かに「意味のない訪問」はよくありません。しかし、そう言われた部下たちの表情を見ていると、納得していないことが多いのです。
なぜなら、営業部長や課長が「どんな訪問に意味があり、どんな訪問に意味がないのか」を整理し、具体的に説明していないからです。それをしないまま、「意味のない訪問をするな」と怒鳴ってみても、部下は混乱するばかりです。
本連載は、営業目標を絶対達成する勘所を2分間で読めるコラムとしてお伝えするものです。題材として様々な立場の人の「バトル」を例示します。
今回は社長と営業課長とのバトルです。2人の会話を読んで、「意味のある訪問」とは何かを考えていきましょう。
●社長:「本当に結果が出ないな、君の課は。どういう営業をしているのか、説明してくれ」
○営業課長:「すいません、結果については私の不徳の致すところで……」
●社長:「『不徳の致すところ』はもういい。何度も聞いた。それで?」
○営業課長:「なかなか言っても聞かない連中がうちの課には多くて……。意味のない訪問はするなと口酸っぱく言っているのですが」
●社長:「質問が聞こえなかったのか。そんな調子では、部下とコミュニケーションが取れていないと受け止めるぞ」
○営業課長:「ちょっと待ってください。どういうことですか」
●社長:「もう1回だけ聞く。どういう営業活動をしているのか。君の言葉を借りよう、『意味のある訪問』とは一体何だ」
○営業課長:「『意味のある訪問』とは……。仕事に結びつく訪問です。お客様から注文をもらえないようでは、意味があるとは言えません」
●社長:「それは当たり前だ。どうも君の答えは具体的ではないな。最初に訪問してから注文をもらえるまで、どれぐらいの時間をかけるべきかね」
○営業課長:「それは早ければ早いほうがいいです」
●社長:「子どもではあるまいし、『早ければ早いほうがいい』とか『多ければ多いほうがいい』なんて言うマネジャーがいるか。『ぼかし表現』は止めたまえ。自分の答えを持っていない奴がそう言うものだ」
○営業課長:「も、申し訳ありません」
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