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上海の名刺屋に学ぶ客を怒らせないテク

「マニュアル無視」が想定外の喜びを呼ぶ

2014年6月26日(木)

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 この10年ほど、私は個人事業主として一人で仕事をしている。ただ社会に出てからキャリアの半分は香港と中国で会社員をしていた。今でも年に1、2度、会社員時代は良かったなあ、と思い出すことがある。年に1、2度と言うと時節柄、ボーナスが出たのを懐かしんでいるのかと思われるかもしれないが、あいにく香港も中国もボーナスが出るのは年末か旧正月前の年に1度であり、なにより私の属したいくつかの出版社は、いずれもボーナスを出せるほど儲けてはいなかった。すなわち私はボーナスをもらった経験がないので、懐かしみようがない。

 私が良かったなあと思い出すのはもっと些細なこと。それは、総務に「お願いします」と一言伝えるだけで、自分の代わりに名刺をオーダーしてくれたことである。

 私の場合、名刺が切れそうだなと気付くのは出張前のことが多い。そして出張前というのは、出張先で行うセミナーの資料作りや取材の準備などで、普段よりも忙しい。この中で、名刺の原稿に変更がないかどうかをチェックし、変更があればパソコンを開いてデータを修正し、USBメモリに入れ、印刷屋に持ち込むという作業は、時間も食うしかなり面倒なものだ。これが会社員時代であれば、名刺の上に修正をささっと書き込んで総務に託せばよかったのだから、随分楽だった。

名刺の相場は200枚で1300円

筆者が名刺を頼んでいる印刷屋。10平米足らずだが、人気の観光地・田子房のある泰康路にあることもあり、家賃はひと月1万元(約17万円)。上海郊外の印刷所は自前で10年前に500万元(約8500万円)を投資して設立した。ドイツ製のオフセット印刷機が自慢だ

 1度、名刺が切れそうだと分かっていながら準備に追われ、作らないまま上海から東京に向かったことがある。案の定、出張初日で名刺が切れた。そこで、ネットで探した印刷屋に飛び込み、店頭で15分待てば仕上げてくれるというスキャン名刺というのを頼んでみたところ、仕上がりを見てぼう然とした。店頭で、オリジナルと仕上がりは異なるとの説明は受けていた。しかしそれにしても、スキャン後に画面で確認したサンプルと、刷り上がってきた名刺の色があまりにも違う。全体に赤みがかり、文字の輪郭はボケボケ。料金は60枚刷ったので5400円だった。上海で作ってくれば200枚で80元(約1300円)で済んだのに。なにより、この名刺を相手に渡すのかと思うと気が滅入った。

 これに懲りて、その後は余裕を持って名刺を準備しようと心に誓った。それなのに、6月の東京出張を前に、名刺を作りに印刷屋に飛び込んだのは、出発2日前のことだった。忙しさにかまけてというのもあるが、この7~8年、いつも名刺を頼んでいる印刷屋では、原稿を持ち込んだ翌日に仕上げてくれることが分かっていたからだ。念のため、明日受け取れるんだよね? と確認すると、「是的。明天来吧」(そうです。明日来てください)の返答。200枚の料金80元也を先払いして受け取りをもらい店を出た。

コメント14件コメント/レビュー

違う国の言葉を辞書で日本語に変換した結果はあくまでもガイドライン。何を本当に意味しているかは多くの場合全く別。それは日本人の間でも同じ。但し、意味の齟齬の範疇をお互いにかなり会得しているのでストレスの掛かりかたが軽減されているだけ。(2014/06/29)

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「上海の名刺屋に学ぶ客を怒らせないテク」の著者

山田 泰司

山田 泰司(やまだ・やすじ)

著述業/EMSOne編集長

1992~2000年香港で邦字紙記者。2001年の上海在住後は、中国国営雑誌「美化生活」編集記者、月刊誌「CHAI」編集長などを経てフリーに。2010年からは、「EMSOne」編集長も務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

違う国の言葉を辞書で日本語に変換した結果はあくまでもガイドライン。何を本当に意味しているかは多くの場合全く別。それは日本人の間でも同じ。但し、意味の齟齬の範疇をお互いにかなり会得しているのでストレスの掛かりかたが軽減されているだけ。(2014/06/29)

北京在住です。記事に描かれている様子が目に浮かび、あるある・・とにやにやしながら読んでました。深夜に名刺を届けに来た青年は、こういう場合、必ず彼らは「どうしても今日だっていうから、僕がんばったよ!」てな様子で、目をキラキラさせてやってくるものです。それにつられてこっちも「こんなに遅くにほんとにごめんなさい。ありがとう!」と筆者のような対応をしていまうものです。私もいつも同じく。そして、筆者と同じく、次回にまた軽く裏切られる 笑コメント欄を読んで、「はっ」としました。確かにみなさんのおっしゃる通りです。こっちに落ち度はないし、悪いのは全面的に印刷屋だし。全然ほめられた対応でもありません。が、日本との触れ幅の大きさを体験するのはなかなか面白いのです。(2014/06/28)

臨場感のある読んで楽しい記事でした。(2014/06/27)

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ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長