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トヨタの“壁”を突き抜ける

部長が集まる「即断即決エリア」が生まれた理由

2014年7月3日(木)

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 系列部品メーカーとの協業関係の見直し、長年止めていた試作車の復活――。日経ビジネス6月30日号特集「トヨタ 迫る崖っぷち」では、開発や生産の現場で起きている新たな動きを詳報した。現場を超えて共通するキーワードは「壁を突き抜ける」だ。

 上から見ると、ラグビーボールの輪郭を描くように机が並んでいた。研究開発や生産技術部門の部長ばかり12人の座席が、楕円の放射線状に外を向いて並んでいる。目の前の仕事に集中している時はさておき、椅子を少し引いて振り返れば互いに目が合ってしまう距離に、部長たちは座ることになる。

部長たちが集まる『即断即決エリア』(イラストの席次はイメージ)

 この不思議な座席配置は、トヨタ自動車が2013年2月に稼動した「パワートレーン共同開発棟(PT棟)」と呼ぶ建物の8階に、実在する。12人の部長それぞれが率いるのはエンジン、ハイブリッドシステムの開発陣や、部品ユニットの生産技術部隊だ。

 この施設ができるまで、部長たちも彼らの部下も、ばらばらのフロアで働いていた。研究開発、生産技術と大別すれば、両部門の本拠地はトヨタ本社の敷地を貫く国道248号線の両側ではっきりと分かれていた。

 トヨタがわざわざこんな建物を建てて、研究開発部門と生産技術部門を1つ屋根の下に同居させた理由。それはほかでもない、巨大化した部門と部門の間に生まれた“壁”を壊すためだ。互いの声が常に聞こえ、目が合ってしまう距離に各部の部長や技術者を集めれば、新しい開発案件についていつでもすぐに話し合える。今までは互いにアポを取り、空いている時間と会議室を確保して初めてできた会議が、ここでは椅子をくるりと回すだけで済んでしまうというわけだ。「忙しいかな」と遠慮をする暇もない。

パワートレーン共同開発棟は”壁"を壊すための拠点(写真:早川俊昭)

 エンジンや変速機の開発を束ねるユニットセンター長の須藤誠一・副社長の席もすぐそばにあり、トヨタ社内ではこの部長席を「即断即決エリア」と呼ぶ。この他にも、PT棟ではIT(情報技術)企業のように社員が好きな座席を選べる「フリーアドレス制」を採用し、さっと集まれる打ち合わせスペースもそこかしこに作った。いずれも、部門を超えた交流を促すための仕掛けだ。

 須藤副社長は「競争に勝つには、今まで以上にスピード感を持って開発していかないといけない」と言う。トヨタが今年4月に発表した小型車向け低燃費エンジンは、PT棟での「即断即決」を通じて生まれた。

 もっとも、量産を念頭に置いて生産技術と設計が議論しながら開発を進めていくのは、トヨタではかねてから常識だったはずだ。今はPT棟が立っている場所に、創業初期にあった拳母(ころも)工場でも、こうしたやり取りは毎日のようにあった。

 PT棟が今になって生まれたのは、こうした環境を作らなければ、所属部門を超えた意思疎通がしづらくなっていた、という現実の裏返しでもある。企業が巨大になっていく中で、当たり前にできていたことができなくなる――。今トヨタの現場で起きているのは、こうした課題への必死の対抗だ。

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「トヨタの“壁”を突き抜ける」の著者

佐藤 浩実

佐藤 浩実(さとう・ひろみ)

日経ビジネス記者

日本経済新聞社で電機、機械、自動車を6年間取材。13年4月に日経ビジネスへ。引き続き製造業を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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