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ルビコン河で溺れる韓国

中韓首脳会談を木村幹教授と読む(1)

2014年7月10日(木)

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 韓国は米国側に踏みとどまるのか、中国側に走るのか――。7月上旬に開かれた中韓首脳会談を、木村幹・神戸大学大学院教授と深読みした(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。

集団的自衛権で中韓共闘

木村幹(きむら・かん)
神戸大学大学院・国際協力研究科教授、法学博士(京都大学)。1966年大阪府生まれ、京都大学大学院法学研究科博士前期課程修了。専攻は比較政治学、朝鮮半島地域研究。政治的指導者の人物像や時代状況から韓国という国と韓国人を読み解いて見せる。受賞作は『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(ミネルヴァ書房、第13回アジア・太平洋賞特別賞受賞)と『韓国における「権威主義的」体制の成立』(同、第25回サントリー学芸賞受賞)。一般向け書籍に『朝鮮半島をどう見るか』(集英社新書)、『韓国現代史』(中公新書)がある。ホームページはこちら。最近の注目論文は「日韓関係修復が難しい本当の理由」(Nippn.com 2013年12月20日)。(写真:鈴木愛子、以下同)

木村:韓国はルビコン河に飛び込みました。まだ「中国という向こう岸」にはたどり着いてはいない。しかし、こちらの岸――米国からは大きく踏み出しました。少なくとも「踏み出した」と関係国からは見なされました。

 韓国は今後どう、米中間の大河を泳ぎ渡るのか。それとも急流の中で溺れてしまうのか……。韓国人は今、そんな不安にかられているのではないかと思います。

鈴置:朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は、7月3、4日の両日に韓国を訪問した習近平主席と首脳会談に臨みました。4日の午餐会で朴槿恵大統領は河野談話の検証など歴史問題や、集団的自衛権の行使容認に関連し、習近平主席と「日本に対する憂慮」で一致しました。

 4日、青瓦台(大統領府)の朱鉄基(チュ・チョルギ)外交安保首席補佐官が大略、以下のように発表しました。

  • 両首脳は、集団的自衛権行使に向けた日本の憲法解釈の変更について、多くの国が憂慮を表明していると指摘。日本政府は平和憲法を守る方向で防衛・安全保障政策を透明に推進しなければならないとの意見で一致した。

韓国の“反乱”に直面した米国

 韓国外交部はすでに、これに近い水準で対日批判をしていました。しかし、今度は国のトップたる大統領自身が、中国の主席と一緒になって集団的自衛権の容認に事実上「NO」と言ったのです。

 なお「多くの国が憂慮」というところは嘘で、憂慮しているのは中・韓と北朝鮮だけです。集団的自衛権の容認に対しては、中国の脅威にさらされる東南アジア各国を中心に、各国が賛成しています。

木村:日本の集団的自衛権容認は、アジア戦略の柱となり得るとして米国で歓迎されています。強腰になる中国への備えを日本が分担するものと認識されているからです。

 その日本の姿勢に、同じく同盟国である韓国が中国に公然と同調して反対したのです。米国が快く思うわけはありません。

日本でも「中韓の反日共闘」が大きく報じられました。

鈴置:韓国の保守メディアも、この「中韓共闘」を強く批判しました。ただ、韓国紙の懸念は「反日そのもの」よりも「中国側の国と米国に見なされてしまう」ことへの恐れでした。

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「ルビコン河で溺れる韓国」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

日本経済新聞社編集委員

1977年、日本経済新聞社に入社。ソウル特派員(87~92年)、香港特派員(99~2003年と06~08年)などを経て、04年から05年まで経済解説部長。02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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