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なぜ、頭の良い若者ほど、 プロフェッショナルになれないのか?

2014年7月14日(月)

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「知性」と似て非なる、もう一つの言葉

田坂教授は、『知性を磨く 「スーパージェネラリスト」の時代』(光文社新書)の中で、「知性」と「知能」は、似て非なる言葉であり、高学歴とは「高い知能」を持っていることを意味しているが、「深い知性」を持っていることを意味しないと指摘されていますね。
 そのことを、この連載の第1回では、「なぜ、高学歴の人物が、深い知性を感じさせないのか?」という逆説として述べられたと思いますが、前回の連載第2回の最後に、「知性」と似て非なる、もう一つの言葉があると言われました。それは何でしょうか?

田坂:そのことを説明するために、ビジネスにおいて、しばしば遭遇する一つの場面を紹介しましょう。ビジネスパーソンならば、誰もが、こうした場面を経験したことがあるのではないでしょうか?

 例えば、ある新事業企画の会議。

 ある若手社員が見事なプレゼンをする。同僚の若手メンバーは、感心しながら聞いている。
 それは、環境ビジネスに関する新事業企画の提案。
 実に周到に準備された提案資料。壁に映し出されるスライドには、この事業のビジョンや戦略、事業計画が、次々と見事なコンセプトで語られる。
 冒頭は、地球環境問題についてのビジョン。海外の著名な環境思想家の言葉を幾つも引用しながら、格調高く、ビジョンが語られる。
 次いで、事業戦略。これも世界的に著名なビジネススクール教授のソーシャル・マーケティング論が引用される。
 さらに、事業計画。海外のビジネス雑誌の特集記事のデータなども引用しつつ、この新事業が、いかに有望な市場を狙っているものかを説明する。
 さすが、旺盛な読書家で、いつも最先端情報を渉猟している彼らしい、該博な知識を感じさせる新事業企画のプレゼン。
 その後の質疑においても、次々と、その該博な知識と正確な記憶力で、質問に答えていく。

 いわく、「それは、米国の調査では、こう結論づけられています」 「この戦略は、いま、新たなマーケティング思想として、注目を集めています」 といった調子。

 しかし、感心する若手メンバーの中で、一人、この企画会議を主宰する熟練のマネジャーだけは、先ほどから黙って聴いているが、あまり賛同している様子ではない。

 そのことに気がつき、この若手社員が聞く。

「いかがでしょうか?この新事業提案……」

 そのマネジャーは、若手社員を見つめ、一言、穏やかに聞く。

「一つ、質問があるんだが、この提案書の中で、君が、自分自身の『経験』から掴んだものは、どの部分なのかな……」

 その言葉を聞き、一瞬、言葉を失う若手社員。
 そして、その沈黙の中で、このマネジャーが、大切なことを教えてくれようとしていることに気がつく……。

 ビジネスパーソンならば。誰もが、こうした場面に遭遇したことがあるのではないでしょうか?

たしかに、似たような場面は、経験ありますね……。若手社員にとっては、怖い場面ですが……(笑)。
 しかし、この場面が教えてくれる、「知性」という言葉と「似て非なる言葉」とは、何でしょうか?

田坂:「知識」という言葉です。

 この「知識」という言葉も、「知性」という言葉と混同して使われることが多い言葉ですが、世の中には、多くの「書物」を読み、該博な「知識」を身につけた人物を、「知性」を身につけた人間と思い込む傾向があります。

 しかし、実は、どれほど該博な「知識」を身につけても、それが「知性」を身につけたことを意味するわけではないのですね。

コメント17件コメント/レビュー

つまり、知識、知能でプレゼンした企画を、経験、知恵がない。深みがないとして、失敗も経験させずにつぶしていわけですね。知能、知識がある若者が知恵をつけることができないのは、経験を優先する、知恵を持った老人に余裕がないことが原因ということですね。(2014/07/14)

「知性を磨く スーパージェネラリストへの成長戦略」のバックナンバー

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「なぜ、頭の良い若者ほど、 プロフェッショナルになれないのか?」の著者

田坂 広志

田坂 広志(たさか・ひろし)

多摩大学大学院教授

1974年東京大学卒業、81年同大学院修了。工学博士(原子力工学)。米シンクタンク客員研究員などを経て、2000年多摩大学大学院教授に就任。2011年3~9月、東日本大震災に伴い内閣官房参与に就任

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

つまり、知識、知能でプレゼンした企画を、経験、知恵がない。深みがないとして、失敗も経験させずにつぶしていわけですね。知能、知識がある若者が知恵をつけることができないのは、経験を優先する、知恵を持った老人に余裕がないことが原因ということですね。(2014/07/14)

痛快です!今まで若者に何と説明したら分かって貰えるのだろうかと悩んでいました。「知恵」という言葉をそのまま当て嵌めるのはどうかと思いますが、中国人や韓国人のエンジニアにも読ませたい内容ですね。「プロフェッショナルが永年の経験を通じて身につけた智恵を、自ら歳月をかけて同じ経験を積み、その智恵を掴むのではなく、わずか数冊の本を読んだだけで掴みたいと思う『安直な精神』」は、今の若者の心の中を的確に反映していますね。「いま、多くの人々の心の中に、その『うまい秘訣』を求める安直な精神が蔓延している。その背景にも、永年続いた『知識偏重教育』と『受験教育』の弊害があります。」の部分は、文科省に聞かせてやりたい言葉ですね。 試験でも安直なマークシート方式が主流ですが、記述式や論述式に変えれば、知識と知恵の見分けはできると思います。時代に逆行するようですが、今の若者の風潮を変えるには良い手段だと思います。 投稿者の中に「就職試験で知識を求められるからだ」と書かれていますが、それは足切りの手段であって、目的ではありませんよ。ちゃんと面接で人物像は見ています。知識を知恵に変えられる人とそうでない人は、知恵のある人なら見分け付きますから。昔のように応募期間を絞り、一人で応募できる会社数を絞れば、応募する側もそれなりに考えるでしょうから、知識偏重の足切り試験は必要なくなると思います。 (2014/07/14)

「愚者は経験から学び,賢者は歴史に学ぶ」という言葉もあるように,最近の若者は,むしろ自分の(もしくは狭い交友範囲の中で共有された)経験に,判断の根拠を置きすぎているように思います。知識の詰め込みだけでは当然だめですが,何もないところに知恵が生まれるはずもなく,知性とは十分な知識をもちながら,その限界も知り,そこからさらに外を目指す意欲的な態度を合わせたものだろうと思います。(2014/07/14)

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後藤 忠治 セントラルスポーツ会長