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習近平に底なし沼で助けられた朴槿恵

中韓首脳会談を木村幹教授と読む(2)

2014年7月17日(木)

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 韓国の保守メディアは「離米」外交を一斉に批判した。しかし「中国主席の訪韓」を喜んだ普通の人々は、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領を支持した。中韓首脳会談で顔をのぞかせた、韓国人の心の奥底を木村幹・神戸大学大学院教授と読んだ(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。

「国の危機」を訴える親米保守

木村幹(きむら・かん)
神戸大学大学院・国際協力研究科教授、法学博士(京都大学)。1966年大阪府生まれ、京都大学大学院法学研究科博士前期課程修了。専攻は比較政治学、朝鮮半島地域研究。政治的指導者の人物像や時代状況から韓国という国と韓国人を読み解いて見せる。受賞作は『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(ミネルヴァ書房、第13回アジア・太平洋賞特別賞受賞)と『韓国における「権威主義的」体制の成立』(同、第25回サントリー学芸賞受賞)。一般向け書籍に『朝鮮半島をどう見るか』(集英社新書)、『韓国現代史』(中公新書)がある。ホームページはこちら。最近の注目論文は「日韓関係修復が難しい本当の理由」(Nippn.com 2013年12月20日)。(写真:鈴木愛子、以下同)

前回の「ルビコン河で溺れる韓国」は朴槿恵大統領が、中韓首脳会談のため訪韓した習近平主席と、日本の集団自衛権容認に対しスクラムを組んで反対した。これに驚いた韓国の親米派が朴槿恵外交を猛烈に批判し始めた――という話でした。

鈴置:「中国と同調すれば米国との関係が悪化する」と懸念した人々の、朴槿恵外交への批判は簡単には収まりません。親米保守の牙城である趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムは「国の危機」を訴える記事で溢れ返っています。

 代表的な記事が7月9日にヴァンダービルドというペンネームの識者が書いた「大韓民国が早晩、直面しうる『状況』――米国は今や韓国の突出した行動により、むしろ『ある種の自由』を感じる可能性も」(韓国語)です。

 ヴァンダービルド氏は国際政治に深い識見を持つ人で、身元は明らかにされていませんが、元・韓国外交部高官と見られています(「『漁夫の利外交』で韓国は無限大のツケを払う」参照)。この人の現状分析は以下の通りです。

「ミランダ警告」を発した米

  • 「ミサイル防衛(MD)」や「アジアインフラ投資銀行(AIIB)などに関連、最近、米国が発信する露骨な直接話法――例えば「加入しろ」「加盟するな」――は韓国に対するスタンスを確定するための“ミランダ警告”に相当すると言っていい。
  • 分もわきまえずに親中反日だの、等距離外交だのと興じた代価として、突きつけられなくともよかった試験用紙に直面した形だ。
  • 国のリーダーから一般人までに蔓延した「向中国・反日本」の空気により、出題者たる米国の期待を裏切って、この試験用紙に気ままな答えを書く可能性もある。

 ちなみに「ミランダ警告」とは米国の警察官が容疑者を逮捕する際に「供述はあなたに不利な証拠となる可能性がある」などと宣言し、予め「ルール」を明示しておくやり方です。

 米国がMDやAIIBに関連し、韓国にモノ申し始めたのは「そこで中国の言いなりになると敵性国家と見なす」と「ルール」を示して来た、とヴァンダービルド氏は見ているわけです。

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「習近平に底なし沼で助けられた朴槿恵」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

日本経済新聞社編集委員

1977年、日本経済新聞社に入社。ソウル特派員(87~92年)、香港特派員(99~2003年と06~08年)などを経て、04年から05年まで経済解説部長。02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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