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リニアを作るカネでJR北海道を救済すべきだ

東京・大阪間は国費で中央新幹線を作れ

2014年7月18日(金)

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 3年ほど前からJR北海道でトラブルが続出している。JR北海道の利用者は不安でたまらないだろう。脱線、出火、検査データの改竄など次々に不祥事が発覚し、今やひんぱんな運休が当たり前になっている。

 まるで、ダメになっていく企業のモデルのようだ。新聞報道によると、原因はずいぶん根強い組織の問題にあるようだ。また、そもそも投資資金が大幅に不足しているという指摘もある。

 一方で目を南西に転じれば、同じJRの名を冠しながら景気の良い話題ばかりの企業もある。言うまでもなく、JR東海だ。超ドル箱路線の東海道新幹線を擁し、そのうえで、約9兆円もの投資が必要なリニア新幹線の開業に向けても着々と布石を打っている。

 JR北海道とJR東海は、言うまでもなく、27年前までは国鉄という同じ組織に属していた。しかし、今やくっきりと明暗が分かれてしまった。この2社が、もっと言えば今のJR7社が、別々の組織になったのはもちろん国鉄民営化のいきさつによるのだが、そろそろあの民営化の見直しが必要ではないか。明らかに今のJR北海道はおかしい。だが、その経営状態の奇妙さとは別の奇妙さが、JR東海にもある。

リニアの原資は実は国のカネ

 JR東海は、国や自治体の力を借りることなく、自腹で約9兆円を調達・投資してリニア新幹線を作るという。

 リスクをとって投資し、自社をより大きく成長させようと考え、行動するのは民間企業だから当然のことだ。投資は必ずリスクを伴う。成功すればさらに成長のチャンスに恵まれ、もしも失敗したならば自力でなんとか再生を図らなければならない。JR東海は、勇気ある決断を下しつつあると言える。

 ただ、そのリニアの投資の原資はいったいどこから来ているのか。

 JR東海が約9兆円を投資できる体質なのは、ひとえにドル箱の東海道新幹線を持っているからだ。独占事業者としてのアガリがあるから、リニア新幹線に投資できるのである。ちなみに東京―大阪間において、旅客の新幹線のシェアは72%に対し、航空は19%に過ぎない(2010年度、国土交通省HP)。

 しかし、その東海道新幹線を作って育てたのは誰かというと、民間企業のJR東海ではない。民営化前の国鉄、そして日本国政府だ。JR東海は、国に作ってもらったドル箱装置で稼いだ金で極端に儲けた結果、リニア新幹線をつくろうとしているわけだ。

 元来、東海道新幹線はJR東海のものではない。国家の財産であり、我々国民のものだ。国土交通省はそれをすっかり忘れてしまっている。情けない。たしかに今の政府にはカネがない。また、何でも民の力でやった方がよいという風潮である。だからJR東海が「自力でやります、民間ですからリスクもとります」と言ってきたときに、国としても「それは違うだろう」とは言いにくい。

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「リニアを作るカネでJR北海道を救済すべきだ」の著者

上山 信一

上山 信一(うえやま・しんいち)

慶応義塾大学総合政策学部教授

1957年大阪市生まれ。京都大学法学部卒。米プリンストン大学公共経営学修士。旧運輸省、マッキンゼー(共同経営者)を経て現職。専門は経営戦略と行政改革。九州大学ビジネススクール客員教授。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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