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終身雇用と成果主義は、同時に実現できます

日本雇用構造における3つの“S”を考える

2014年7月22日(火)

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 日経ビジネスオンラインの読者の皆さまの方が、私より日本の雇用構造について詳しいのは事実でしょう。とはいえ、皆さんはこの構造の「内側」にいるため、何らかの偏見を持っているかもしれません。

 今日は、海外の研究者から見た、昨今の日本の雇用構造の変化における新しい機会と課題について取り上げます。3つ重要なポイントがあります。1つ目は、終身雇用はとても重要な制度であり、もっと柔軟なシステムに進化させられさえすれば、制度をいじらなくてもむしろこれからも存続可能であることです。2つ目は、実現可能な終身雇用のため、査定制度が生産性と効率性を基準とするものに切り替わるべきであることです。最後は、企業が多様性を求めて社員を採用していけば、現在の就活における様々な問題が解決されていくことです。

日本の非正規社員は、そもそもとても少ない

 下の表は、厚生労働省の労働力調査を基に作られた、2013年における雇用の平均データです。この数値の中に2項目だけ、国際平均と比較して際立つ項目があります。

 1つ目は、失業率の低さです。これには多くの理由がありますが、経済学者の中には、これが女性や若者などをはじめとした人たちが労働市場から抜け、労働力人口に含まれなくなるからだ、と考えている人もいます。2つ目は、50%以上の労働者が正規雇用であることです。日本における「非正規」の社員は、海外と比較してそもそも、とても少ないのです。

労働力調査 平成25年度(2013年度)平均
男女計(万人)労働力人口の%
15歳以上人口11,088
労働力人口6,577100
完全失業者2654.0
就業者6,31196.0
そのうち就業者の%
自営業主・家族従業者72811.5
雇用者5,55388.0
そのうち
役員を除く雇用者5,21082.6
正規の職員・従業員3,30252.3
非正規の職員・従業員1,90630.2
そのうち
パート・アルバイト1,32020.9
契約社員2734.3

 しかしこの数値だけでは、日本の雇用の変化に関する課題は、はっきりとは見えません。それは日本の雇用構造が、企業や個人、そして経済全体にとって、柔軟性に欠けた、とてもお堅いシステムだからです。日本の雇用構造を分析するベストな方法として、三大“S”に注目していきましょう。

  1. 終身雇用の「S」: 柔軟な労働市場に向けて

 何年も前から議論されている話ですが、日本では非正規雇用が増えています。昨今の女性の就業率の増加と並び、安倍首相の基本方針における重要なトピックです。(そしていうまでもなく、この2つは関係しています。)この非正規雇用の増加は、終身雇用の終わりを意味している、と嘆く人もいます。そこでここでは、非正規雇用、そして終身雇用の柔軟化が、未来の日本の企業競争力のために必要だという逆の考え方について、お話しましょう。

 終身雇用制度の起源は明治時代までさかのぼるのですが、現在のシステムは、1950年代後半の高度成長期にできあがりました。この時代の産業政策は、政府が大企業をサポートする一方で、成長が見込まれたこれらの企業が社員の福利に責任を持つ、という原理の下で成り立っていました。皆が安定した仕事に就いていれば、公的な雇用保険制度があまり必要ではありませんでした。また大企業が医師や歯科医を社内診療所などで用意していれば、企業が時間を節約できるだけでなく、政府が医療保険の予算を減らすこともできたのです。

コメント3件コメント/レビュー

おおむね著者の見かたには同意するのですが、日本では正規雇用と非正規雇用で給与に格差がありすぎます。私は労働の流動化は悪くないと思っていますが、前提として非正規雇用と非正規の溝を埋めるべきだと思っています。あとは人材派遣会社の役割を制限するべきでしょう。紹介のみにとどめ、継続したピンはねを許すべきではありません。(2014/07/24)

「ドイツ人経営学者は見た!日本のかっこいい経営」のバックナンバー

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「終身雇用と成果主義は、同時に実現できます」の著者

Uシェーデ

Uシェーデ(うりけ・しぇーで)

米UCサンディエゴ大学教授

日本型経済・経営および経営戦略論の権威。主な研究領域は、日本を対象とした企業戦略、組織論、金融市場、政府との関係、企業再編、起業論など。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

おおむね著者の見かたには同意するのですが、日本では正規雇用と非正規雇用で給与に格差がありすぎます。私は労働の流動化は悪くないと思っていますが、前提として非正規雇用と非正規の溝を埋めるべきだと思っています。あとは人材派遣会社の役割を制限するべきでしょう。紹介のみにとどめ、継続したピンはねを許すべきではありません。(2014/07/24)

人事部(ということで比較的大企業)の採用ミスはやはり大きいと思いますよ。そもそも採用のフィルタが求めている人材を得るためになっていない。それを改善しようとしない、採用結果に対するフィードバックも責任を取る事も無い。もっと現場に近い人間が出て様子を見たり質問をすることが必要だと思います。成果主義といっても結局は評価が全て問題。直ぐに評価がハッキリする仕事なら可能だ。だが、そうではない事も多いので、その意味で終身雇用的長期安定が必要だ。本人が選んだなら兎も角、会社要求で特定分野について勉強やスキルアップをした場合に、その分野が衰退や無くなった時に、会社も責任を取ってスキル転換コスト他を払うべきで、切るようではブラックだ。先の成果主義の話ではないが、実際にブラックと言われる飲食業界などの直ぐ評価できて長期高度スキルなど殆ど不要の場合などは、結局人を壊れるまで使い潰す焼畑モデルが成立してしまう。終身雇用は成立しないのではないか?業界業務内容などで千差万別だと思う。(2014/07/22)

同時に実現できると言っても、現在の制度的終身雇用を市場選別的終身雇用に変えるべきであって、雇用市場の改革が大前提となる。一般の商品であれば、価格に見合わない商品は早々に市場から退出し、価値ある商品は代を越えて長く使い続けられる、それが市場原理だ。終身雇用は結果であり、前提に市場の選別があることを忘れてはならない。現在の雇用市場の最大の難点はこの選別を阻む制約が経営側のみに課せられている市場の非対称性にある。労働者は報酬が少ないと感じれば転職する自由があるのに、経営側には労働の成果がないと評価しても容易に解消する術がない。勢い、そこに発生した余剰利益は非正規との格差を生み、労働者は一層会社にしがみつき不良資産化し、逆に経営側はそれを逆手にとってブラック労働を強いることになる。雇用市場がキチンと機能すれば、辞められたくない人材には成果に応じた待遇改善を促し、労働者側にのみ犠牲を強いるものではないだろう。ただし海外では既に同一労働同一賃金も義務化されており、雇用の流動化と同時に報酬の適正化への環境整備がクルマの両輪であることを見逃してはならない。(2014/07/22)

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後藤 忠治 セントラルスポーツ会長