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中国が仕掛けた「中立化の罠」にはまる韓国

中韓首脳会談を木村幹教授と読む(3)

2014年7月24日(木)

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 二股外交により米中間で動きがとれなくなった韓国。行方には「中立化」が待っているように見える。木村幹・神戸大学大学院教授と先読みした(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。

レッドラインを越えた

木村幹(きむら・かん)
神戸大学大学院・国際協力研究科教授、法学博士(京都大学)。1966年大阪府生まれ、京都大学大学院法学研究科博士前期課程修了。専攻は比較政治学、朝鮮半島地域研究。政治的指導者の人物像や時代状況から韓国という国と韓国人を読み解いて見せる。受賞作は『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(ミネルヴァ書房、第13回アジア・太平洋賞特別賞受賞)と『韓国における「権威主義的」体制の成立』(同、第25回サントリー学芸賞受賞)。一般向け書籍に『朝鮮半島をどう見るか』(集英社新書)、『韓国現代史』(中公新書)がある。ホームページはこちら。最近の注目論文は「日韓関係修復が難しい本当の理由」(Nippn.com 2013年12月20日)。(写真:鈴木愛子、以下同)

前々回前回は、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が一気に中国側に傾いた。恐ろしくなった韓国の親米保守派は「中国に呑み込まれる」と悲鳴を上げた。しかし朴槿恵大統領は耳を貸しそうにない――という話でした。

鈴置:木村先生の例え話を使えば、中韓首脳会談を機に韓国はルビコン河に飛び込みました。習近平主席と一緒になって、朴槿恵大統領が日本の集団的自衛権の行使容認を強く批判したからです。

 これにより、米国が示していた「レッドライン」を韓国は越えたと見なされました。ただ、韓国は米国との同盟を打ち切るわけではない。まだ、北朝鮮の脅威は米国に抑えてもらう必要があるからです。

 韓国は米国にも足場を残し、二股を続けるつもりでしょう。しかし二股というか、二枚舌外交は大変な困難を伴います。

 例えば、集団的自衛権の問題で怒らせてしまった米国に対し、外交当局は人を送って弁解することにした、と韓国メディアは報じています。

二枚舌の苦労

米国と日本がコントロールするアジア開発銀行(ADB)に対抗して中国が作ろうとしているアジアインフラ投資銀行(AIIB)。これに関しても、米国は韓国に警告しましたね。

鈴置:韓国はこの創設に参加しようとして、米国から止められました(「ルビコン河で溺れる韓国」参照)。中国に対し内々に参加を表明していたようで、韓国は板挟みになりました。

 韓国では奇妙な「解決策」が語られています。AIIBの本部を韓国に誘致すればいい。これでAIIBの「中国色」が薄まり、米国の怒りも収まって韓国も参加できる。ついでに韓国も国際機関の本部を持って来られる――というのです。

 中央日報が7月15日に「中国にAIIB本部誘致を要請……韓国の妙手」(日本語版)という記事で報じました。

米国は本部誘致により、韓国がAIIBに参加することを許すでしょうか。

鈴置:その可能性は極めて低いと思います。今や米国は韓国を「中国の使い走り」と見なしています。

 こんなアイデアを持ち込まれたら「今度は中国と一緒になって猿芝居か」と、米国はますます怒り出すと思います。韓国人は自分たちが周囲からどう見られているか、まだ分かっていないようです。

 いずれにせよ韓国は、大きな声を出した国の言うことを聞き、翌日、反対側から怒られたら謝るという、その場しのぎの外交に陥りました。

 「米中星取表」を見れば分かるように、米中の対立案件は山のようにあります。これら全てで二枚舌を使わねばならないのです。

米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求を呑んだか
(○は要求を呑ませた国、―はまだ勝負がつかない案件。△は現時点での優勢を示す。2014年7月23日現在)
案件 米国 中国 状況
米国主導の
MDへの参加
中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD」を採用へ
日米韓3国の
軍事情報交換
4月の米韓首脳会談でいったん合意。しかし中国の脅しで実現に動けず
在韓米軍への
THAAD配備
韓国国防相は一度は賛成したが、中国の反対で後退
米韓合同軍事演習
の中断
中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施
CICAへの
正式参加(注1)
正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」
CICAでの
反米宣言支持
5月の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か
AIIBへの加盟
(注2)
米国の反対で7月の中韓首脳会談では表明見送り。ただし、継続協議に
日本の集団的自衛権
の行使容認
7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致
(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を「米国をアジアから締め出す」組織として活用。
(注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)を、米国と日本が力を持つADB(アジア開発銀行)への対抗馬として育てる計画。
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「中国が仕掛けた「中立化の罠」にはまる韓国」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

日本経済新聞社編集委員

1977年、日本経済新聞社に入社。ソウル特派員(87~92年)、香港特派員(99~2003年と06~08年)などを経て、04年から05年まで経済解説部長。02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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