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「今年はバグ出しの年」

やっぱり異業種の知恵が必要だ

2014年7月25日(金)

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 人が農業の扉をたたく理由は様々だ。今回の主人公はビジネスの世界にいたとき苦しんだ「心のトラブル」がきっかけだった。そう書くと、仕事のストレスに疲れ、「自然に帰る」のはよくあるケースだと思うかもしれない。だが彼は田舎に住み、農作業で心の平和を取り戻したところで立ち止まりはしなかった。もう一度都会に戻り、農業の新しいビジネスモデルに挑み始めたのだ。

 「米風土」と書いて、「マイフード」と読む。これが、高橋隆造が代表をつとめる「あっぷふぁーむソリューションズ」が企画し、店頭に並び始めたコメのブランドの名前だ。このネーミングを聞いただけで思わず「ほう」と感心しそうだが、最大の特徴は名前ではない。

 コメの食味値を商品の前面に出す。しかも生産者ごとに。「米風土」の際だったユニークさはそこにある。例えば、この連載で何度か紹介してきた小林達樹の場合、パッケージに「岐阜県 小林達樹作」と書き、その横にもっと大きな字で「八十五」と書いてある。

食味値や生産者の名前を前面に出した包装
書籍のように棚に並べることのできるパッケージも

 消費者がコメを選ぶ楽しさをとことん追求すると、こんな形になるのかもしれない。高橋はそれを「コメを食する文化から、コメを楽しむ文化へ」と表現する。そのアイデアの本当の面白さに立ち入る前に、まずは彼が農業の世界に入った経緯から説き起こそう。

大阪で起業→パニック障害→鳥取で農業

 大学を出るとすぐ起業し、大阪を拠点にアクセサリーの会社を経営していた。人工ダイヤのキュービックジルコニアとシルバーを使った商品を企画し、発注し、それを扱う店舗を百貨店などで展開した。だがこの事業はあるとき、断念せざるをえなくなる。順風にみえた事業の行く手を阻んだのは、経営上の問題ではなく、パニック障害だった。

 もともと大学のころから、症状に悩まされていた。だが今回再発したときは、これ以上、仕事を続けるのが難しいほど、深刻になっていた。そんなとき、同じ病を患っていた女優の高木美保が農業を通して症状を克服したことをテレビで知った。「自分も農業をやろう」。会社をたたみ、仲間と田舎に移り住むことにした。2009年のことだ。

 選んだ先は鳥取県日南町。友人のつてで、日南町が就農者を探していることを知ったからだ。訪ねてみると、風景はどんどん山ばかりになっていく。想像以上の「田舎ぶり」に驚いた。信号がほとんどない。コンビニはもちろんない。まわりにあるのは田んぼだけ。夕方には、家からまきを炊く煙が立ち上る。

 先回りして言えば、2カ月ほどたったころ、「病気はどこに行ったんだろう」と思えるようになった。空気がいい。ストレスはない。朝昼晩、食事をとる。緑に囲まれて体を動かす。人間としてやるべきことをきちんとやる。農業という仕事の本質が彼を病から救った。

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「「今年はバグ出しの年」」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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