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日本から消え始めた鋳物の火

産業ピラミッド揺るがす「3重苦」

2014年7月29日(火)

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 電気料金の高騰が企業の業績に打撃を与える実態は、日経ビジネス7月28日号の特集「電力暴騰 企業生き残りへ、4つの選択」でも紹介した。日本でも有数の鋳物メーカー集積地、大阪府東大阪市と埼玉県川口市では今何が起こっているのか。

電力消費の多い鋳造工場では電気料金高騰の打撃が深刻だ(写真:船戸 俊一)

 見渡す限り一面、工場が広がる東大阪市高井田地域。全国1位の工場集積度を誇る東大阪市のなかでも、最も工場の密度が高い地域の一つだ。120ヘクタールの中に、約800の製造業が立地しており、歩き回るとどの建物からも機械加工音が聞こえてくる。

 7月初旬。記録的な大雨が大阪を襲ったその日、ある鋳物会社を取材するため高井田地域を訪れた。

 「昨年の12月くらいから、もうあかんかなと思っていた」

 雨の音にかき消されそうなほどの声でそう話すのは、丸高鋳造の高井祥弘社長。産業機械用の鋳物部品などを製造する同社は6月末、電気料金の高騰と人手不足が原因で廃業した。

 多いときで50人いた社員は、昨年12月に6人にまで減った。募集をかけても全く人は集まらない。例え若手が入社しても、厳しい労働環境や単純作業の繰り返しに耐え切れず数か月で辞めてしまうことも多かったという。最後まで残った6人のうち、2人は外国人労働者だった。

 深刻な人手不足に追い打ちをかけたのが電気料金の高騰だ。関西電力管内の企業向け電気料金は、東日本大震災前は1キロワット時13.3円だったが、2013年度の平均料金は17.4円まで上昇した。

 鋳物は、鉄を炉の中でドロドロに溶かし、鋳型に流し込み作成する。電気炉を使用せざるを得なく、毎日多額の電気料金がかかってしまう。丸高鋳造では、1t当たりの電気料金が震災前の2.8円から3.4円に増加。値上げ分を製品価格に転嫁できればいいが、取引先はそれを承諾しない。黒字経営だったが、「利益は目に見えて減っていった」と振り返る。

 「なんとか自力で乗り越えられないかと思ったが、どれも自社だけでは解決できない問題だ」。苦渋の末、廃業を決断した。

コメント11件コメント/レビュー

「行政に頼むなら原発再稼働でなく産業保護を頼んでください」という意見に、強く抗議するコメントがあった。わたくしも抗議者に同意する。世の中は魔法では動かない。産業は正常な経済活動の中でしか生きていけない。原発廃棄も、正常な経済活動の過程に乗せない限り、実現できない。廃炉にするためにも、原発関係者の高い士気を醸し出して行かない限り実現できないし、膨大な経費が予想される。経費の出所を考えても、正直のところ、原発を動かさない限り、廃炉への道筋も立てられないだろう。廃炉のための技術開発は言わずもがなである。実際、今、一番、心配しなければならないことは、原発関係者の士気が下がり、従来なら起きなかった初歩的なミスが続発し、そして、本来なら、ルーティンで当然防げたはずの事故を起こしてしまうことだ。そして、メディアがそれ見たことかと囃し立て、さらなる悪循環が起きる…。原発関係者は悪者だというの正論だろ、何を言ってもいいじゃないか、ということではない。福島の事故にしても、緻密な検証を(どうせ脱原発だとして)排除してきているが、それも正しい態度ではないだろう。最近、川内原発再起動の関係者が身体的危害を恐れていると聞いたが、こうなると、もうどう考えていいのかわからない。何か起きてもメディアは責任を取らないだろう。こういった状況下で頑張っている原発関係者が停止中の炉を守っているからこそ、大事が起きていないのだ。大いに感謝しなければならない。(2014/07/29)

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「日本から消え始めた鋳物の火」の著者

齊藤 美保

齊藤 美保(さいとう・みほ)

日経ビジネス記者

2011年中央大学法学部卒業。同年、日本経済新聞社に入社。産業部にて電機、IT、自動車業界を担当した後に、2014年3月から日経ビジネス編集部に出向。精密業界を中心に製造業全般を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「行政に頼むなら原発再稼働でなく産業保護を頼んでください」という意見に、強く抗議するコメントがあった。わたくしも抗議者に同意する。世の中は魔法では動かない。産業は正常な経済活動の中でしか生きていけない。原発廃棄も、正常な経済活動の過程に乗せない限り、実現できない。廃炉にするためにも、原発関係者の高い士気を醸し出して行かない限り実現できないし、膨大な経費が予想される。経費の出所を考えても、正直のところ、原発を動かさない限り、廃炉への道筋も立てられないだろう。廃炉のための技術開発は言わずもがなである。実際、今、一番、心配しなければならないことは、原発関係者の士気が下がり、従来なら起きなかった初歩的なミスが続発し、そして、本来なら、ルーティンで当然防げたはずの事故を起こしてしまうことだ。そして、メディアがそれ見たことかと囃し立て、さらなる悪循環が起きる…。原発関係者は悪者だというの正論だろ、何を言ってもいいじゃないか、ということではない。福島の事故にしても、緻密な検証を(どうせ脱原発だとして)排除してきているが、それも正しい態度ではないだろう。最近、川内原発再起動の関係者が身体的危害を恐れていると聞いたが、こうなると、もうどう考えていいのかわからない。何か起きてもメディアは責任を取らないだろう。こういった状況下で頑張っている原発関係者が停止中の炉を守っているからこそ、大事が起きていないのだ。大いに感謝しなければならない。(2014/07/29)

「自分の負けを認めず、電気料金のせいにして、、、態度には吐き気がします」という意見に抗議します。海外進出企業と国内向け中小企業の言い分をごっちゃにして都合よく言を拾い、疲弊しつつある産業を全部自業自得、死ぬべきだとする論に驚きます。海外が怒涛のコストダウンとはあきれた解釈です。ムダだらけです。なぜ貴重な産業を維持するには、と思わないのでしょうか?助成金で生きろとのさげすみ!。そして憎しみの対象を間違えています。自分は離れた安全地帯にいて、さらなる将来の完璧な安全を望み、いま現在の苦しむ産業、若者の雇用、社会の疲弊に目をつむりとにかく原発再稼動反対を叫ぶ論に私は賛同できません。また国内生産300万台を死守する某企業も関連中小企業を生かさず殺さずで維持ならば、敬意半減、功罪合い半ばでしょう。本記事も、ではどうすべきなのかまでの提言、突っ込みが欲しかった。やはり今こそ共感、共生が必要な時、と私は思います。(2014/07/29)

そして太陽光発電へは補助金じゃぶじゃぶ。なにこれ。明らかにおかしい。メガソーラーと持て囃されているが、固定買取制度が無ければ運営が立ち行かないところばかりだろうに。(2014/07/29)

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