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現場管理で経費を減らし、社員給料を1.5倍に

宮城県の南部にある老舗旅館「湯主一條」(後編)

2014年7月31日(木)

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 湯主一條は、宮城県の南部で400年以上にもわたって、湯治宿として経営を続けてきた歴史ある老舗旅館だ。2000年前後には企業経営として実質的に破たん直前の状態まで追い込まれたが、2003年には現社長になる20代目の一條一平氏に世代交代した後、現場作業の改革を断行し、会社の経営状態を大きく改善することができた。

 後編となる今回は、湯主一條のスタッフの管理や食材管理の詳細を見ていく。現場の管理がしっかりすることで、ムダな経費を減らし、社員の給料を以前の約1.5倍に増やすことに成功した。一條一平社長は今後、「現代の湯治場」にも挑戦したいと語る。(前回はこちら

2008年頃に旅館をフルリニューアルしたときの会社はどんな感じだったのですか?

一條:2008年のフルリニューアルは旅館の経営にとって非常に大きな転換でした。このときに最終的に湯治を止め、客室数を大きく減らし、お客様が宿泊していた木造の美しい建物を個室料亭形式の食事処に変えました。サービスの提供方法を大きく変え、サービスの品質を上げていきました。これにより、部屋数を減らして宿泊客数が減ったのに、宿泊単価が上がり、売上は10年前に比べ約2倍になったのです。それに合わせスタッフ数も2倍になりました。売上高に占める人件費が約10%近く上がりました。

湯主一條の露天風呂

 このように増やしている経費もありますが、減らしている経費もあります。代表的なのが料理の食材の仕入れ原価で、10%以上も下げることができました。ポイントは質を向上させながら、仕入れ原価を下げたことです。

 自分が東京から帰ってきたころは、冷蔵庫に食材がたくさん詰め込まれ、それがデットストックになっていました。棚卸しも、当たり前のようにやっていませんでした。現場は自分達が食べたいものを仕入れ、「余ったから」と言って持ち帰ることもありました。在庫管理がろくにできていなかったのです。その一方で、仕入れ業者には、言われた通りの金額をただ支払っていました。このように、現場を全く管理できていなくて、それで食材原価が高かったんですね。

 それではいけないと思い、そこから旅館の経営上の数字を見るようになりました。今では、現場のあらゆることを数字で管理するようにしました。例えば、トイレットペーパーも、何個をどこに誰が持っていったのかを記録するようにしています。かつては、自分の家にトイレットペーパーを持ち帰っても分からかったのです。つまり、経費はただムダに垂れ流されていました。

 このように数値で現場をしっかり管理するようになったのも2008年頃です。湯主一條の旅館経営上の大きな転換点はこの時でした。2003年に世代交代して、いろいろ努力してきたことで、売上は対前年比で毎年7~8%も増え続けていましたが、2008年までは自分の会社に利益がきちんと増えてきているという実感を持てませんでした。

 現場の管理がしっかりできるようになり、ムダな経費を減らせるようになったことで、今ではきちんと利益が出るようになりました。銀行からの借り入れもしっかり返済でき、スタッフの給料を増やせるようにもなりました。社員の給料は、以前の約1.5倍に増やせました。

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「現場管理で経費を減らし、社員給料を1.5倍に」の著者

内藤 耕

内藤 耕(ないとう・こう)

サービス産業革新推進機構代表理事

世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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