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北朝鮮への原油輸出中断は続いている

  • 重村 智計

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2014年8月5日(火)

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 北朝鮮については、しばしば、虚偽の情報が意図的に流される。真実を隠す情報合戦を、南北の当事者が展開している。真実と偽情報を区別するのが専門家の仕事だが、これが難しい。最近、「中国は北朝鮮への原油供給を継続している」との情報が、広がった。検証してみると、誤った情報だった。

 韓国の報道機関は、今年4月頃から「中国の貿易統計に、北朝鮮への原油輸出の記録がない。今年1月から3月まで連続して中断している」と報じた。これは、韓国の貿易機関が確認した事実だ。原油の輸出中断は6月も続いた。

平壌の現実

 北朝鮮の状況は、どうなのか。7月に北朝鮮を訪問したある在日朝鮮人は、「大変な石油不足に直面している」と語った。平壌では、バイクなどの二輪車の使用が禁止されていたという。軍の中堅幹部も自動車出勤をやめ、自転車出勤を余儀なくされていたそうだ。やはり北朝鮮は、大変な石油不足に直面していた。

 ところが、6月中旬頃から「中国は、北朝鮮への原油輸出を中断してはいない」といった情報が流れ出した。韓国の報道機関も「原油輸出は中断されていない」との情報を紹介した。明らかに、「北朝鮮の苦境」を報道させたくない意図が伺われた。

 専門家はもとより、一般のビジネスマンまでがこの情報を真に受けて、「中国は、原油供給をこっそり続けているのでしょう」と語るほどになった。誤った情報が定説として定着するのは、日本の外交や政策を誤らせるので、「北朝鮮石油の真実」を説明したい。

北朝鮮の石油事情

 朝鮮半島では、原油は生産されない。油田は発見されていない。北朝鮮の石油輸入量は、最近10年間は毎年70万トン程度で、アジア最低の輸入量だ。日本の原油輸入は約2億トン。韓国も1億トンを超えている。北朝鮮の石油量は、悲惨なほどに少ない。

 70万トンの内訳は、原油輸入が50万トンで製品輸入が20万トン程度だ。50万トンの原油から精製されるガソリンや軽油などの軍事用の石油(軽質分)は20万トンでしかない。すべてのガソリンや軽油、灯油を軍事用に使うにしても、供給量は、製品輸入の20万トンと合わせて合計40万トンにしかならない。

 これでは、通常、戦争は不可能だ。戦争をするなら、500万トンから1000万トンの石油が必要だ。北朝鮮の軍隊は、まともな訓練や演習ができないから、ミサイル発射実験で軍事力を糊塗するしかない。だから、特殊なゲリラ部隊と核開発に力を注いでいる。

 中国が北朝鮮に供給してきた、50万トンの原油は、質の悪い大慶油田の原油だ。常温で固まってしまうので、ヒーティング装置のあるパイプラインで送油している。北朝鮮が原油代金を支払わないので、50万トンは事実上の援助であった。この原油供給が今年1月から中断されたというのだから、大変だ。

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