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「まるで都議会のヤジ」

農業女子の苦悩は消えない

2014年8月8日(金)

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 「なんでこんな苦しい思いをしなければならないんだろう、と思うこともありました」。彼女はそう言って声をつまらせた。本来なら、これ以上立ち入るべきではないのかもしれない。だが、それでは農村の女性の実態を知り、伝えることはできない。だから続けた。「何がそんなに苦しかったんですか」。

改めて、女性にとって農業とは?

 女性がふつうに始めることができるようになることが、農業が成長するための条件の1つ。そう考え、この連載では男性顔負けの勢いでがんばっている女性たちを紹介してきた(2014年3月14日「ガールズ農場は、いま」、2013年10月18日「結婚でオンナの決断、農の新しいカタチ」など)。

 彼女たちの果敢なチャレンジを取り上げることで、「女性にも農業の世界が開けている」ことを示すためだ。だが、そうした取材を続けながら、「それだけでいいんだろうか」とも思っていた。「女性であること」が注目されるということは、裏返して言えば、それがまだまれなケースであることを示している。

 取材に応じてくれたのは、関東地方のある県で、トマトなどの野菜を栽培している山田春子と田中夏子。それぞれ40代と30代。もちろん仮名だ。

 春子は家が農家で、まず父親のあとを継いで農業を始め、結婚してからは夫も作業を学び、夫婦で専業農家になった。夏子のほうは、夫の実家が農家なため、結婚してから農業を始めた。

 「女性にとって農業とはなにか」。この質問に、春子は自分の母親のことから語り始めた。「母のことを見て、育ちました。封建的な家で、母が家にいないと、父の両親が『嫁が帰ってこない』と文句を言いました。母は自分の用で外に出ることはめったにありませんでした」。

 朝は5時ごろに起きて、食事をつくり、洗濯をし、畑に出る。春子は「わたしたちが起きると、母はもう家にいませんでした」とふり返る。昼に汗だくで帰ってきて、また食事の準備を始める。「父や祖父母はごろごろしながら、『メシはまだか』と言っていました」。

コメント15件コメント/レビュー

大学卒業後10年間企業に就職し、家業を継いで10年が過ぎた専業農家です。農業というか農家の現状を正確に取材されていた記事を大変興味深く読ませていただきました。女性が普通に参入できる職業としての農業は、目指すべき方向だと思いますが、それで農業の衰退を防ぐことができるわけではありません。記事にもあるように3Kの労働環境を農家自ら改善してこなかったことによる後継者の逃避と、経済合理性を重要視しない経営による売り上げと所得の減少に尽きると思います。女性が農業に積極的に参加するべきですが、これからの日本の農業形態は、専業農家ではなく兼業農家であるべきです。私の周りでは、夫が農業に従事し、妻が会社に勤める形態がうまくいっているように見えるからです。これならば、農業所得に依存しない家計になるので、規模拡大による無理な農業経営をやめ、小規模で手間をかけた品質の良い作物を作る本来の姿に戻ることができるからです。無論、妻が農業に従事し、夫が会社に勤める形態もありですが。ただし、先代のように妻が家事も農作業もでヘトヘトになってしまうことがないようにしなければなりませんが。(2014/08/10)

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「「まるで都議会のヤジ」」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

大学卒業後10年間企業に就職し、家業を継いで10年が過ぎた専業農家です。農業というか農家の現状を正確に取材されていた記事を大変興味深く読ませていただきました。女性が普通に参入できる職業としての農業は、目指すべき方向だと思いますが、それで農業の衰退を防ぐことができるわけではありません。記事にもあるように3Kの労働環境を農家自ら改善してこなかったことによる後継者の逃避と、経済合理性を重要視しない経営による売り上げと所得の減少に尽きると思います。女性が農業に積極的に参加するべきですが、これからの日本の農業形態は、専業農家ではなく兼業農家であるべきです。私の周りでは、夫が農業に従事し、妻が会社に勤める形態がうまくいっているように見えるからです。これならば、農業所得に依存しない家計になるので、規模拡大による無理な農業経営をやめ、小規模で手間をかけた品質の良い作物を作る本来の姿に戻ることができるからです。無論、妻が農業に従事し、夫が会社に勤める形態もありですが。ただし、先代のように妻が家事も農作業もでヘトヘトになってしまうことがないようにしなければなりませんが。(2014/08/10)

私は専業農家です。この仕事に就いて37年になりますが、彼女の苦悩はいたいほどよくわかります。私の場合は、男ですので、私が悪い習慣や地域性をすべて壊してゆきましたので、この地域はすごく変わりました。しかし、いまだに悪習慣をひきずっている所はたくさんあり、うんざりすることがよくあります。ですが,そんな事はどうでもいいのです。自分は自分、他人が何と言おうが関係ありません。要は、いかにして金を稼ぐか、これに尽きると思います。農業というのは、非常に非効率で収益性が悪い仕事です。私は就業してから、ずっと、何とか消費者の口に近づけるようにいろんなことをやってきましたが、記事にもあるように、6次産業化にはかなり高いハードルがあり、加工まで行けても、販売や流通のところで行き詰ってしまいます。農家には、資金力もありませんし、流通のノウハウもありません。やはり、販売や流通の業界が農業をやってもうまくゆきませんので、農家を取り込むのが一番手っ取り早いように思います。(2014/08/08)

いつもこの記事を楽しみしております。都会育ちで、今は農業盛んな盆地の小さな製造業で縁あって働いています。同僚は皆、兼業農家、元・農家、定年後に農業復帰予定の方ばかりです。会議の小休止、何気なく「未経験者が就農し、苦労の果てについに農業一本でやっていける売上げを得るまでになった記事を読んだ」と口にしました。それに対する同僚の反応は、激しくそれを否定するもので驚きました。「ウソだ。」「極少数の話だ」「そんな話をヨソでしたら恥をかくよ」「農家は大変。苦労ばかりで儲からない。」「都会の人間は夢でもみてろ」「では皆さん、儲からないと仰るからには、ご自身の農業の原価くらいは把握されているのですよね?」とつい反論をしてしまいました。静まり返った会議室。答えられる方は誰一人。本当は、多くの農家は本当の苦労を知らず、その“ぬるま湯”を脅かすものはいかなる存在も許さないのではないか?と疑っています。多くの農家はこの記事に対し、現状維持を破壊するものとして敵意を示すのではないでしょうか。記事の彼女達の声が、どうか同志達に届きますように。(2014/08/08)

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