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それでも東京にこだわりますか

島根県海士町に見る新しい生き方

2014年8月5日(火)

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「奇跡の島」と呼ばれる島根県海士町の玄関口。境港(鳥取県境港市)からフェリーで3時間半かけ、多くの若者が来島する

 我こそは新島守よ
 隠岐の海の荒き波風
 心して吹け

 承久の乱に敗れ、流刑となった後鳥羽上皇。死ぬまでの19年間を過ごしたのが隠岐の島だった。それから800年近く経った現在。隠岐の島の1つ、島根県海士(あま)町には全国から優秀な若者が続々と集まってくる。後鳥羽上皇が詠んだような、波風が吹きすさぶ人気のない「遠流の島」のイメージは、もうここにはない。

 地方から都市部への移住者が再び地元に戻るUターン。都市部から出身地と異なる田舎に移り住むIターン。U・Iターンにはこれまで、少なからずネガティブな意味合いが込められていた。東京でのサラリーマン生活に挫折し、やむなく故郷に戻る者、定年を機にのんびりと余生を過ごそうと田舎に移住する者。移住者の年齢層が高かったことも、U・Iターンに「守り」のイメージを与える要因の1つになった。

 だが今は違う。東京圏の一流企業の第一線でばりばり働いていた20~40代のサラリーマンが辞職し、進んで地方に移住する。彼らはまだ若く、ゆったりと過ごすことだけを志向しない。積極的に情報発信し、仲間を集って地域コミュニティーの再興に力を注ぐ。または地方発の新しいビジネスを興さんと奮闘する。ライフタイルの充実という大きな目標を実現するための「攻め」の移住といえる。

終身雇用崩壊で東京離れ

 なぜこのような現象が起きているのか。理由の1つとして、相対的に東京圏の魅力が低下していることが挙げられる。バブル崩壊で終身雇用制度が崩壊し、会社の中で年齢を積み重ねれば右肩上がりに給料が増えていく賃金体系は“夢物語”になった。その結果、若いころに会社を辞めるデメリットが薄れ、地方移住が現実的な選択肢として浮上した。

 もう1つはインターネットサービスの普及だ。フェイスブックやツイッターのようなSNSが一般化し、場所を問わず自由に友人や仕事の関係者と連絡を取ることができる環境が整った。地方に移住しても常時つながっていられる、情報インフラとしての機能だけではない。新しい移住の動きが加速度的に広がったのも、SNSに依るところが大きい。

「限界都市・東京~一極モデル打ち破る新未来図」のバックナンバー

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「それでも東京にこだわりますか」の著者

林 英樹

林 英樹(はやし・えいき)

日経ビジネス記者

大阪生まれ。神戸大学法学部卒業後、全国紙の社会部記者として京都・大阪で事件を取材。2009年末に日本経済新聞社に入り、経済部で中央省庁担当、企業報道部でメディア・ネット、素材・化学業界などを担当。14年3月から日経BP社(日経ビジネス編集部)に出向し、製造業全般を取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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夢の実現にあたっては強く「念ずる」。そうした心構えを支えにビジネスの世界の荒波を渡ってきました。

後藤 忠治 セントラルスポーツ会長