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「彼女は分野が違って特別だから」

【1】暗転

2014年8月6日(水)

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 「先輩の研究とどこが違うの? 自分の研究部分を明らかにしないと。意味ないよ!」。2006年2月、早稲田大学理工学部(当時)の研究棟の廊下に、怒気を含んだ声が響いた。

 声の主は応用化学科教授の常田聡。「環境微生物の分離培養」と題した学士卒業論文の内容を説明した4年生の女子学生に、書き直しを命じた。先輩学生との共同実験のデータを明示せずに盛り込んだ点を指摘したのだ。

(写真=上:Bloomberg via Getty Images)

 女子学生は口を真一文字に結び、表情をこわばらせた。だが、大学院への進学を決める際に、彼女はあっけらかんと常田にこう訴えた。「微生物では自分の力を発揮できないと思います。細胞の研究をやりたいんです」。

 常田のモットーは「教えない教育」。学生の自主性を重んじ、自由に研究をさせた。彼女は修士課程に進むと、医学部を持たない早大が生命科学研究で長年連携してきた、東京女子医科大学の門を叩いた。

 それから8年後の今年1月。小保方晴子は、科学界に彗星のように登場した。動物の体の細胞に刺激を与えると初期化し、あらゆる細胞に分化するSTAP細胞を発表。「リケジョの星」と、称賛を浴びた。

 だが、事態は暗転する。所属する理化学研究所は4月、科学誌「ネイチャー」への掲載論文に捏造と改竄があったと断定。大発見は、華々しい発表から2カ月で無に帰した。

 「たまごっち」。かつての研究チーム関係者は、小保方を1990年代にブームになった玩具に例える。周囲が予期しない行動に出る危うさはあるが、愛嬌があり、つい許してしまうキャラクター。土日もなく実験に没頭する姿勢が評判だった半面、チーム活動が不得手な面もあった。

 理研理事長の野依良治は、小保方を「未熟な研究者」と切り捨てる。今回の騒動を、1人の研究者の資質不足と理研の特異性で片付けることは可能だ。だが、その背景には、大学教育から科学と社会の関わりまで、学術界に潜む大きな問題の構図が透けてくる。

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「シリーズ検証 STAP細胞、失墜の連鎖」のバックナンバー

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「「彼女は分野が違って特別だから」」の著者

林 英樹

林 英樹(はやし・えいき)

日経ビジネス記者

大阪生まれ。神戸大学法学部卒業後、全国紙の社会部記者として京都・大阪で事件を取材。2009年末に日本経済新聞社に入り、経済部で中央省庁担当、企業報道部でメディア・ネット、素材・化学業界などを担当。14年3月から日経BP社(日経ビジネス編集部)に出向し、製造業全般を取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

田中 深一郎

田中 深一郎(たなか・しんいちろう)

日経ビジネス記者

日経新聞科学技術部、証券部を経て、2012年4月より日経ビジネス記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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松﨑 曉 良品計画社長