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革新急げ! 欧米諸国が主導権争い

第1回:ドイツが仕掛ける新産業革命「インダストリー4.0」の波紋

2014年8月25日(月)

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 サッカーのワールドカップブラジル大会、南米開催のワールドカップで初めてヨーロッパの国、ドイツが優勝したことは記憶に新しい。しかも、開催国のブラジルに7対1で圧勝し、決勝ではメッシを擁するアルゼンチンを撃破しての優勝である。この躍進の背景には、ドイツが2000年代初頭から代表チームレベル及びクラブチームレベルにて国を挙げて長年取り組んできた育成システムがある。

 さて、その詳細はサッカージャーナリストに任せるとして、ビジネスの世界でも今ドイツが国を挙げて取り組んでいる、注目すべき新しい取り組みがある。その名も「インダストリー4.0」だ。欧州発の新しいデジタルトランスフォーメーション(デジタルへの移行)を紹介する本コラムの第1回は、インダストリー4.0の概要とその背景についてご説明したい。

 インダストリー4.0は、第4次産業革命ともいうべきハイレベルな概念である。イギリスで蒸気機関の発明がもたらした第1次産業革命、エジソンが電気を発明し大量生産が確立された第2次産業革命、電子技術の発展でファクトリーオートメーション(工場の自動化)が進んだ第3次産業革命、そして、IT技術によるデジタル化とモノとモノのネットワーク化の進展が産業界にもたらす革命が、第4次産業革命と位置づけられるインダストリー4.0である(図1)。

第1次~3次までの産業革命と同様、第4次と位置付けられる“インダストリー4.0”は社会・経済に多大な影響を及ぼす
Source:DFKI、Roland Berger

 似たような言葉として、IOT(Internet of Things:モノとモノがネットでつながること)やビッグデータなどがあるが、インダストリー4.0はデジタル化とネットワーク化が産業界全体にもたらすインパクトをすべて包含している点でより上位の概念である。

中小企業の先行きに危機感

 さて、それではなぜ今、ドイツは国を挙げてインダストリー4.0を推進しているのだろうか。背景には、大きく2つの理由がある。

第1に、ドイツ経済において重要な中小企業の発展に、政府が危機感を抱いていることである。ドイツには国際的に稼ぐ力を持った中小企業が沢山ある。例えば、輸出総額に占める中小企業の割合は日本の8%に対してドイツは30%以上もある。特定の系列や下請けに甘んじず、独立独歩で世界で活躍する中小企業が多いのだ。

 しかしながら、独立独歩の中小企業が多いということは、全体最適の観点から横連携を難しくするというデメリットもある。特に、インダストリー4.0のようにデジタル化とネットワーク化が進む社会の中ではそれが顕著だ。なぜなら、インダストリー4.0の世界では、標準化や規格、モノ作りの仕様をいかにして統一するかという点で全体の連携が勝負となるからである。先般、仏アルストムに対する買収合戦で独シーメンスと三菱重工業の連合が、米ゼネラル・エレクトリック(GE)に敗れたのは記憶に新しいことであろう。

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「革新急げ! 欧米諸国が主導権争い」の著者

福田 稔

福田 稔(ふくだ・みのる)

ローランド・ベルガーP

慶応義塾大学商学部卒、欧州IESE経営大学院経営学修士(MBA)。大手ITコンサルティング会社を経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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