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成果報酬制度は、細部の仕組みに魂が宿る

2014年8月19日(火)

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 近年、日本でも、年功序列制度に加えて、社員の業績や成果を報酬に反映させる成果報酬制度を採用する企業が増えている。成果報酬制度は、実際に生産性や業績をあげる効果があるのだろうか? どのように制度設計をすれば、業績向上の成果が得られるのだろうか?

 ドイツのウド・コンラット・キール大学教授とポスドクのイボンヌ・ガーバーズ氏は、世界中で行われた146の実験研究の対象となった3万1861人のデータを用いて、はたして成果報酬制度に業績向上の効果があるのか、どのような制度設計をするとより効果が発揮されるのかを明らかにした。

 コンラット教授らが分析の対象とした146の実験研究のうち116は個人の業績に対して報酬が提供される「個人報酬」を研究対象とした。残りの30はチームの業績を基準に報酬が支払われる「チーム報酬」を研究対象とした。チーム報酬は、チーム全体のパフォーマンスによってチームの総報酬額が決まる制度で、メンバーが協力して生産に携わる必要がある製造業などでしばしば採用される。

 チームメンバー間の業務に相互依存性が高い場合は、個人報酬よりもチーム報酬の方が効果的だと言われる。その一方で、チーム報酬はフリーライダー(周りの人の仕事にただ乗りする)問題を助長する可能性があることも指摘されてきた。

 さらに、チーム報酬には、チームメンバーに平等に報酬が分配される平等分配方式と、チームへの貢献度に応じて個々人への報酬が決められる分配方式がある。平等分配方式は、チームの団結力の強化が期待できる一方で、やる気を低下させる可能性も考えられる。

成果を「量」で測るか「質」で測るか

 成果報酬制度の効果は、ほかにも様々な要因に影響を受ける可能性がある。業務内容が複雑であればあるほど努力しても成果が出にくいため、成果報酬制度には効果がないと、コンラット教授らは仮定した。

 また成果が売上高などの「量」で測定される場合と、サービスなどの「質」で測定される場合では効果が異なる可能性もある。2014年7月17日の日本経済新聞の記事によると、厚生労働省は介護事業への成果報酬制度の導入を検討している。具体的には、介護サービスの「質」を客観的に評価する指標を作り、評価が高い事業者に対して高い報酬を支払う仕組みの導入を検討している。

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「成果報酬制度は、細部の仕組みに魂が宿る」の著者

田中 知美

田中 知美(たなか・ともみ)

合同会社エッジ代表

米ハワイ大学経済学科博士課程修了。カリフォルニア工科大学ポスドク、アリゾナ州立大学助教授、慶応義塾大学特任准教授などを経て現職。専門は行動経済学・政策実験。1969年長崎県生まれ。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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