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学者の書くケース・スタディはなぜつまらないのか

第2話 「教育」とビジネス誌の違いとは

2014年8月27日(水)

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 週刊誌の「日経ビジネス」をパラパラとめくっていると、興味深いケース・スタディ(事例研究)があふれています。「なるほど!」と思うような含蓄にある経営手法や、「何で?」と思うような奇抜に見える経営手法まで、様々な事例が詳細に記述されています。

 こうした経営手法に関する知識を得ることは、もちろん楽しい作業ですし、そこに実践が伴えば、成果につなげることもできるでしょう。

 しかし、 経営学を職業として教育し、そして研究する経営学者にとってのケース・スタディは、必ずしも新しい知識を得る事だけを目的にしていません。では、何を目的にしているのでしょうか?今回は特に、「教育」というテーマに注力し、もう一度基礎的な理解を確認していきたいと思います。

経営学者の考えるケース・スタディには2つの要素

 経営学におけるケース・スタディは、大別すれば「教育」と「研究」の2つの意味付けがあります。

 経営学は、一方で実践的な役割を期待される学問でもあります。実社会に直結し、実務家にとって有益な知見を提供することが期待されます。他方、経営学は社会科学です。経営という行為とそれを行う組織と個人を調べることで、科学発展への貢献も期待されています。

 従って、「実学としての経営学」と、「社会科学としての経営学」、この2つの期待に応えるように、 経営学におけるケース・スタディも「教育」のためのケース・スタディと、「研究」のためのケース・スタディの2つの側面が存在するのです。言い換えれば、経営学の研究者は、単に面白いからであったり、新規性があるからというだけでは、その事例、すなわちケースに飛び付いたりしません。

 それは考えてみれば当然かと思います。世の中には海千山千の経営が幾多とあり、いずれの事例もどれもが少なからず面白く、独創的で新規性があります。明確な選択の判断軸無くしては、この無数に存在する魅力的な調査対象を前に、我々は右往左往してしまうことでしょう。

日経ビジネスのケース・スタディとは違う

 日経ビジネスなどの経営誌が果たしている役割は、ビジネスにおける報道かと思います。報道、すなわちジャーナリズムとは、世間が知るに値する重要な出来事に関する事実を正確に収集し、それを分かりやすい形で中立的に伝達する事と言われています。

 すなわち、経済誌や経営誌の記事にとって重要なのは、知識を分かり易く、正確に客観的に伝えることであり、逆に読者である我々は、それを知ること、それを理解することに価値を感じているのではないでしょうか。

「ボーダーレス経営論~情報過多時代の「未知先」案内」のバックナンバー

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「学者の書くケース・スタディはなぜつまらないのか」の著者

琴坂 将広

琴坂 将広(ことさか・まさひろ)

立命館大学国際経営学科准教授

慶応義塾大学環境情報学部卒業。在学時、小売・ITの領域において3社を起業、4年間にわたり経営。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て英オックスフォード大学で博士号取得(経営研究)。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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