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甚だ心許ない衣料の「メイドインジャパン」

洗い加工場の仁多産業と三好染工が相次ぎ破産

2014年8月20日(水)

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 8月上旬に島根県の仁多産業が破産したことが報じられた。負債総額は9億8000万円。仁多産業とはジーンズの洗い加工場である。その少し前の6月には岡山県倉敷市児島の三好染工が破産申請している。この三好染工も洗い加工場である。

 クールジャパンのキャンペーンとも相まって昨今、日本製衣料品が見直されている風潮を感じるが、日本の衣料品製造業者や繊維製造業者は減少する一方であり、仁多産業と三好染工もその一例であるといえる。

競争力の高いジーンズ業者ですら倒産・廃業が相次ぐ

 しかも、この2社はジーンズの洗い加工業務を主としている。ジーンズといえば数ある日本製衣料品の中でももっとも世界的に日本製の知名度が高い製品である。そのジーンズにかかわる業者ですら、倒産・廃業が相次いでいる。ジーンズですらこの状態なのだから、ほかの分野はさらに厳しい。

 少し仁多産業について見てみよう。

 ジーンズ関連の製造加工企業というと、岡山県、広島県というイメージが強いが先ほども述べたように仁多産業の本社は島根県である。もともとはクリーニング屋で、そこから洗い加工場へと発展したという経緯がある。そして、国内の洗い加工場といえば、国内のみで事業展開をしているように思う方も多いかもしれないが、仁多産業は早くからアジアに進出していた。

 仁多産業の破産が報道されるとインターネットでは「低価格に敗れた」とか「アジア工場に押された」という書き込みが多数見られたが、これは考え違いである。低価格に敗れたもなにもアジアで低価格品を仁多産業自身が手掛けていたわけだし、アジア工場に押されたもなにも仁多産業自身がアジアに進出していた。

 さらに、関係者に聴くところによると、アジアに進出する以前から仁多産業は赤字体質だったとのことだから、アベノミクスによって財務内容が急激に悪化したわけでもなかった。

 ジーンズというアイテムが完成するまでには、「デザイン→縫製→洗い加工」という工程を経る。そしてその前段階には使用するデニム生地が作られているわけだが、デニム生地は大雑把に、「紡績→染色→織布→整理加工」という工程を経てできあがる。国内の繊維製造業者というのはジーンズやデニム生地に限らず分業体制から成り立っており、それぞれの工程を各企業が担当するという構造になっているのが特徴である。

 デニム生地でいうと、紡績から整理加工までの一貫生産ができるのはカイハラだけだし、染色から整理加工までの一貫生産体制を採っているのはクロキだけである。この2社以外のデニム生地製造業者はすべて分業体制である。紡績専門の会社、染色専門の会社、織布専門の会社、整理加工専門の会社と分かれて存在している。デニム以外の生地でも一貫生産できる工場は同じく少数派である。

 そしてジーンズというアイテムもまたほとんどの企業が分業体制を採っている。デザインするアパレルと縫製工場、洗い加工場は一部を除いて別企業である。アパレルでありながら自社縫製工場を抱えているのは現在では、エドウイン、カイタックインターナショナル、ベティスミス、ドミンゴ、ジョンブル、ブルーウェイくらいである。自家の洗い加工場を抱えているジーンズメーカーはその中でももっと少なくなる。自社で一貫生産できるジーンズアパレルはこれほど少ない。そしてジーンズ以外の製品では一貫生産できるアパレルはもっと少数派になる。

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「甚だ心許ない衣料の「メイドインジャパン」」の著者

南 充浩

南 充浩(みなみ・みつひろ)

フリーライター、広報アドバイザー

1970年生まれ。洋服店店長を経て繊維業界紙に記者として入社。その後、編集プロダクションや展示会主催業者などを経て独立。業界紙やウェブなどに記事を書きつつ、生地製造産地の広報を請け負う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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