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つぶれたハウスの先に見えたもの

農業も資本力の時代へ

2014年9月5日(金)

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 今も昔も農業にとって天候は大きなリスクだ。大雨で畑の野菜が流されることもあれば、冷夏でコメが実らないときもある。では作物の被害だけでなく、施設が使えなくなるような巨大災害が起きたらどうなるだろう。災害続きの年で、一般の人の関心は薄れてしまったかもしれないが、農業にはまだ深い爪痕を残している今年2月の豪雪の被害をふり返ってみることにする。

 「今までこんな経験をしたことはない」。グリンリーフ(群馬県昭和村)を経営する沢浦彰治は、2月14日から15日にかけて関東甲信越をおそった記録的な大雪をこうふり返る。直後は雪で道がふさがれ、栽培ハウスを見に行くことさえできなかった。やっと現場に行くことができたのは16日。「もうダメかなと思いつつ、何とか持ちこたえていてほしいとも思っていた」。

「これはあきらめるしかない」

 現場に着くと、淡い期待を裏切る、信じられない光景が広がっていた。「これはあきらめるしかない」。雪に埋もれ、あるいは雪の重みでかたむいたハウスを見てそう思った。110棟あるハウスのうち、じつに80棟が使い物にならない状態になっていた。ハウスで育てていたニラやホウレンソウも全滅した。

豪雪で押しつぶされたハウス(前橋市、沢浦彰治氏提供)

 80棟のハウスを建てるのにかかった費用は5000万円。ただ「今の価格に直すと8000万円になる」という。作物の被害も数百万円に達したとみられる。ふつうの農家なら、かるく経営が吹き飛びかねない損害だ。

 倒壊したハウスを目の当たりにした沢浦は「あきらめるしかない」と腹をくくるとすぐ、「これからどうするか」を考え始めた。もちろん、農業経営をあきらめるという選択肢はない。壊れたハウスをどかし、なにか作物を植えていくしかない。そこでまずはっきりしていることは、残った30棟も撤去しなければならないということだった。

 ある一区画のハウスがつぶれ、ほかの区画のハウスが使えるのなら話はべつだ。だが、雪害がそう区切りのいい形で起きるわけではなく、同じ区画のなかで壊れたハウスもあれば、残ったハウスもあった。ハウス栽培から、畑での栽培にひとまず切り替えるとして、効率を考えればすべてのハウスを撤去して一面を畑にする必要があるからだ。

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「つぶれたハウスの先に見えたもの」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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